これぞ4番エルドV弾 広島4連勝
「交流戦、楽天3-4広島」(12日、K宮城)
広島のブラッド・エルドレッド内野手(32)が一発で決めた。九回に守護神のキャム・ミコライオ投手(29)が1点のリードを守りきれず、同点に追いつかれたが、延長十回に左翼席へ決勝の勝ち越しソロ。主砲の一振りでチームは今季2度目の4連勝だ。交流戦の成績も10勝10敗の勝率5割とした。
打った本人も、ベンチの首脳陣や仲間も、まさか入るとは思わなかった。延長十回、2死走者なし。エルドレッドが小山伸のスライダーを捉えたが、打球は三塁側スタンド方向へ飛んだ。そのままファウルかと思いきや、大きく右に旋回。スライスしてフェアゾーンへ戻り、そのまま左翼席に吸い込まれた。
2試合ぶりの一発は勝負を決める勝ち越しの4号ソロ。ただ試合後は、うれしさよりも、異常な打球の動きに興奮が収まらなかった。
「ファウルかと思ったけど、反対方向に打球が曲がったから、どうしたことかと思ったよ。こんなの見たことないし、打ったこともない。ボールの内側をバットの芯で捉えたことで、右に曲がったのかも。もしくはスライダー回転の球を芯でたたいたことで、不規則な回転になったのかも」
野村監督も“ビックリ弾”に笑いが止まらなかった。「すごいスライスしたね。ファウルかと思ったら、球が(フェアゾーンに)戻ってきたよ」とまくし立て、「ああいう場面で外国人に一発が欲しかったんだ」と満足そうだった。
エルドレッドとしても、失敗を繰り返したくなかった。1点を追う八回、無死二、三塁の絶好機で打席が回ったが、空振り三振。「あの打席で最低限の仕事をできなかったからね。次の打席(の本塁打)で帳消しになってよかったよ」と胸をなで下ろした。
打線の軸として存在するだけで、チームに好影響を与えているのは間違いない。右手骨折から復帰し、初戦の5日・ロッテ戦(マツダ)こそ敗れたが、翌日の6日・ロッテ戦(尾道)から4連勝。野村監督は「エルドレッドが戻ってきて、チームの雰囲気が変わってきているね」と語った。
チームは6連敗後、今季2度目の4連勝。交流戦の勝率も5割に復帰した。頼れる主砲を中心に、調子が上がってきた鯉打線。まだまだ連勝街道を突き進む。