ドラ3田中プロ初弾!攻守で存在感
「プロアマ交流戦、広島8‐2オール広島」(6日、マツダ)
広島のドラフト3位・田中広輔内野手(24)=JR東日本=が6日、本拠地初打席で“プロ初本塁打”を放った。社会人野球選抜・オール広島との交流戦に「2番・遊撃」でスタメン出場。初回に右越え2ランを記録した。守備では遊撃、三塁、二塁を守り、ユーティリティー性をアピール。攻守にわたり存在感を示した。
伏兵の一撃にスタンドが沸いた。右翼席へ描かれた美しい放物線。田中が笑顔でダイヤモンドを一周する。「行ったと思った」。本拠地初打席で、いきなり“プロ初本塁打”をたたき込んだ。
初回無死一塁。2ボールから内寄りの甘い137キロ直球を振り抜いた。「走者がいたので、右方向に強い打球を打とうと思っていた。しっかりと振り抜けた」。白球は右翼席中段へ。鮮やかな先制2ランとなった。
キャンプから、2番打者として進塁打などの役割を忠実にこなしてきたが、パワーを持ち合わせていることを証明した。「最高の捉え方。パンチ力があった」。野村監督も、予想外のアーチに驚きを隠せなかった。
充実した1カ月が田中を進化させた。キャンプで打撃フォームを修正。新井打撃コーチの助言で、前足をホームベース方向に踏み出すインステップから、投手方向に踏み出すスクエアステップに変更した。根気よく続け「しっかりと(バットが)振れる。外角の球の感覚も良くなっている」と自分のモノにした。今はもう不安はない。
持ち味のしぶとさも発揮した。4‐1の二回1死。1ボール2ストライクから低めの球を見極めて、四球で出塁。二盗を決め、松山の中犠飛で追加点をもぎ取った。
本塁打直後の打席で、今度は粘り勝ち。投手に精神的ダメージを与えた。「タイプ的に大振りになってボール球に手を出しては意味がない。こっちの方が評価できる」。自分を見失わず、本来のプレーを実行できたことに初めて表情が緩んだ。
守備では遊撃に続き三塁、二塁を守った。どこでも堅実に打球を処理し、アウトを積み重ねた。「いろんな景色が見られて良かった」。どこでも守れる万能性は大きな武器となる。
「全体的に(アピールが)足りない。自分のできることをやりたい」。田中は一喜一憂せず、等身大のプレーを続けることを誓った。それでも視線の先には、開幕1軍入りが確実に見えている。