鯉の新井「守備のことなら」自虐初合流

 阪神から広島に復帰した新井貴浩内野手(37)が19日、広島県廿日市市の大野練習場で行われた合同自主トレに初合流した。練習前には、輪になった新しいチームメートを前に、「守備のことならなんでも聞いてください」とあいさつ。自虐ギャグで笑いを誘い、アットホームな雰囲気で「広島・新井」の再スタートを切った。

 緊張する新人選手に、中堅、ベテラン選手が囲む輪の中心。8年ぶりに古巣復帰した新井が、東出らに促されてあいさつを始めた。

 「初心に帰って頑張ります。アドバイスしますんで、守備のことなら何でも聞いてください」

 思いもよらぬ言葉?に若手は下を向いて笑みをかみ殺す。「なんで笑うん?」。すかさず新井が突っ込みを入れると、静まっていた室内練習場が、どっと笑い声に包まれた。

 「冗談でね」とあいさつの真意は隠したが、新井なりの気遣いだった。自身も16年前、この大野練習場からプロ生活がスタートした。「テレビで見るような人ばかりで、それは緊張した」。今も昔もルーキーの気持ちは同じはず。周囲を和ませるあいさつで、新人との距離を縮めたのは間違いない。

 もちろん新人を含めた後輩たちのために、労力は惜しまない。「何かあればね。自分にできることがあれば何でも、というつもりでいます」。聞きたいことがあれば、先輩としてアドバイスを送る。

 守備練習では言葉通りに、軽快な動きを披露。打撃練習でも“赤ヘル”をかぶって快音を連発した。「1カ月ぶりくらい」と、打撃投手を相手に41スイング。「しっかり振れたんで、それはよかったです」と、納得した表情を浮かべた。

 練習後、大勢のファンのサインに応じると、「お帰りなさい」など温かい言葉を受けた。「(期待を)感じますね。もう一回、初心に帰って頑張ります」。気持ちを新たに、充実の1日となった。

 目指すは24年ぶりのリーグ優勝、そして日本一だ。いまだ経験のない頂点へ「もちろん、それは当たり前にある」。プロ17年目のベテランが言葉で、背中でチームを勝利に導く。

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