広島・黒田博樹投手（４０）が３日、大瀬良大地投手（２３）に伝授した宝刀ツーシームに太鼓判を押した。１日の沖縄キャンプの練習の合間に、握り方や投げ方などを直接指導。この日はマツダスタジアムで大瀬良が実際に投げるのを見て「いいツーシームを投げている」と絶賛した。４日には２度目のシート打撃に登板予定。マウンドの形状を確かめるなど、休日返上で精力的に動いた。

　ショートダッシュの途中だった。黒田が突然、自身の練習を中断。右翼付近で畝投手コーチを座らせて投げる大瀬良の“左打席”に入った。バットを構えるようにして立つと３球、ジーっとボールの軌道を見てうなずいた。

　「ツーシームを投げていたので、どんな球か見てみたかった。いい球を投げていました。人の球を見て参考になることもあるので」

　沖縄キャンプ中の１日のことだった。チームはＤｅＮＡとの練習試合で宜野湾市へ移動。残留して練習した大瀬良は、黒田に助言を仰いだ。「ツーシームの投げ方を教えてください」－。後輩の申し出を快諾。握り方、投げ方、考え方などを惜しみなく伝えた。

　伝えたのはリリースの重要性。大瀬良が言う。「『ほぼ、ほぼ直球の感覚で投げる中で、最後の最後で人さし指にちょっと掛かるイメージ』と言われた」。２日にブルペンで初めて投げ、この日は黒田の前で試投。「すごく球が動いてくれた。全く投げられなかった僕としては成長」と興奮気味に話した。

　黒田は２月１８日、沖縄キャンプからチームに合流。初日の練習前には円陣の中心で「何かあればどんどん聞いてきてほしい」と話した。世界のトップレベルで戦った技術、経験をさっそく、期待の若鯉に伝授した。

　４日にシート打撃に登板するため、この日は休日返上で練習。８７球のキャッチボールや、約３０メートルのダッシュを繰り返した。畝投手コーチは対外試合初登板について、初めて「８日になる」と明言。ヤクルトとのオープン戦（マツダ）で凱旋登板する。

　「試したいこともある。その日の状態で、いろんなボールを使ってアジャストしていきたい」。開幕まで１カ月を切った。言葉で、背中で黒田がチームを勝利に導く。８年ぶりの古巣復帰で、有形無形の効果を生む。