緒方カープ執念の粘り…次こそ初星を
「広島2-4ヤクルト」(27日、マツダ)
緒方鯉、無念の黒星発進-。13年ぶりの本拠地開幕戦は延長十一回に及んだ死闘の末、惜しくも敗戦。だが、2点を追う八回、松山竜平外野手(29)の2点適時二塁打で同点に追いつく執念を見せるなど、明日への希望を感じさせた。この粘りを初勝利につなげる。
超満員に膨れあがったマツダスタジアム。鯉党の悲鳴、歓声…。悲喜こもごもが詰まった攻防が繰り広げられた。24年ぶりの優勝へ期待が高まる広島の町。13年ぶりの本拠地開幕戦。最後はため息に包まれたが、緒方監督が今後のドラマを予感させる初陣のタクトを振るった。
試合を見届けた緒方監督は、最後にベンチから引き揚げた。「お互いにピンチとチャンスの連続。紙一重だった。悔しいですね」。努めて冷静に話す口調に、無念さが込められていた。
2-2の延長十一回。中崎がミレッジに決勝の2点適時三塁打を許した。うなだれるナインに向け、指揮官は真っ先にベンチで大きな声を出し鼓舞した。しかし、直後の攻撃は無得点。球場はため息に包まれた。
一進一退の展開だった。先発の前田が7回2失点で降板。しかし小川の前に打線が沈黙し続けた。それでも0-2で迎えた八回。2死から丸とグスマンが秋吉から四球を選び、続く松山が三塁後方へ遊撃手のグラブからこぼれる同点の2点適時二塁打を放った。「誰もあきらめていなかった」と、指揮官の執念がナインに乗り移った瞬間だった。
松山には昨秋キャンプで、厳しく練習姿勢を叱った経緯がある。「開幕1軍によく残った。生命力がある」とたたえてた男が、見せ場をつくった。
九回1死一、二塁のサヨナラのチャンスでは、菊池の左前打で木村昇が本塁に突入も憤死。96年以来19年ぶり6度目の開幕戦サヨナラ勝利を寸前で逃し、最後は力尽きた。
それでも、24年ぶりの優勝を目指す上で、立ち止まっている暇はない。指揮官は「最後までファンは帰らずに声援をくれた。気持ちを切り替えて、やり返す」と、強い口調で締めくくった。まだ1戦が終わったばかり。新監督は広島の町に歓喜をもたらすべく、ただ前を向く。