黒田に酔いしれた…主宴飾った2回0封
「オールスター・第2戦、全セ8-3全パ」(18日、マツダ)
広島の黒田博樹投手(40)が、8年ぶりの球宴マウンドで2回3安打無失点。初回を3三振に斬るなど、全球種でパの強力打線を封じた。プロ19年目にして初めて、地元広島でのオールスターを満喫。後半戦は24日からの巨人3連戦(マツダ)に回る見込みで、巨人中心ローテで24年ぶりの頂点へフル回転する。また、「2番・二塁」で出場した菊池涼介内野手(25)は華麗な守備で超満員の観客を魅了した。
真っ赤に染まったスタンドを見上げた。シーズンと変わらぬ、いや、それ 以上の大歓声が黒田を包む。8年ぶり5度目の球宴出場。プロ19年目にして初めて、本拠地のマウンドに立った。宣言通りに全球種を駆使。ガチモードでパ・リーグの強力打線に向かった。
「赤いユニホームを見ていると、熱くなるものがあった。あれだけの声援をしてもらったので。すごくうれしかった。こみ上げてくるものがありました」
熱き感情はポーカーフェースの裏に隠した。二回1死満塁。ピンチはピンチに見えなかった。炭谷に対して2-2からの5球目、宝刀「バックドア」で二ゴロ併殺に切った。右手でグラブをポンッとたたき、小さく喜びを示す40歳右腕。全45球。最速147キロの熱投ショーだ。
右肩と右足に炎症を抱え、7日に出場選手登録を抹消された。中10日の“ぶっつけ”登板。抹消中は2度ブルペン入り。お祭りムードが近づくに連れて「僕の中では球宴もどうなるか、まだ分からない」とつぶやいた。シーズン後半戦を最優先に、辞退も選択肢に入れての調整だった。
不安を一蹴したのは、初回のマウンドだった。初球、いきなりスプリットを選択。前半戦で31試合連続安打を記録した秋山を真ん中高めのツーシームで空振り三振に斬った。1死一塁から柳田、中田を連続三振に抑えた。二回1死一、二塁。中島に中前打を浴びたが素手で捕球を試みた。本能だった。
「さすがにあれでケガしたらね。でも仕方ない。小さい頃から野球をやってきたので」
後半戦に向けて右肩、右足の回復具合を確信した。「内角は投げにくい」と“遠慮”もあった中での無失点投球。楽しめたか-。決して笑顔を見せない右腕は、少し悩んでから答えた。「マウンドに上がれば雰囲気を楽しめました」。さあ24年ぶり頂点へ。少しの休息を挟んで、再び初の悲願へと歩みを進める。