黒田激白「素手キャッチ出なくなれば」
先発した18日の中日戦(ナゴヤD)で、右手のひらに打球を受けた広島の黒田博樹投手が19日、このプレーを振り返って特別な思いを激白した。
最短降板について「チームに迷惑を掛けてしまっているのは自分で分かっているので。難しいところですけど」と前置きした上で、反射的に動いた体について「自分で手を出した以上、自分に責任があるんですけど。手が出なくなったら、それは辞める時」と強い口調で明かした。
事態は初回に暗転した。2死一塁で打席に平田。初球、中前に抜けそうな強烈なライナーに、条件反射的に右手が出た。打球は手のひらを直撃(投手強襲内野安打)。球場は一時騒然となった。畝投手コーチらがマウンドに向かって状態を確認。投球練習を5球したがストライクが入らず、いったんベンチに下がった。
ベンチは交代の準備を始めたが治療後、黒田は大声援を背に再びマウンドへ。この後6球の投球練習でもストライクは最後の1球しか入らなかったが、「大丈夫」と、投手コーチらに続投を志願した。「僕自身、投げられると思ってマウンドに上がった以上、何も言い訳はできない」。結果的に四回、決勝3ランを浴びて6敗目(7勝)、チームも6連戦黒星スタートとなった。
当初は、今季チームとしても初となる中4日で、23日の巨人戦(マツダ)に登板する予定だった。次回登板については「それは日々、話し合いながら決めていく。練習して投げてみないと分からないこともあるので。状態を見ながらですね」と慎重に話した。移動後、黒田はさっそくマツダで、50メートル前後のキャッチボールなど練習を再開。今後は状態を確認しながら、首脳陣と相談した上で登板日程を詰めていくことになる。
登板から一夜明けたこの朝、広島で練習を再開するため午前の新幹線で広島に戻った。痛みか、それとも敗戦の悔しさか…。眠れなかった様子で、少し赤くなった目のままタクシーに乗り込んだ。それでも、プレーを振り返る瞬間は、迷いのない言葉で思いを吐露した。
「(打球が)当たっているから痛いものは痛い。でも大丈夫だと思う。なんで手を出すんだ、と怒られる時もあるんですけどね。でも、それが自分のスタイル。それでここまで勝ってきましたから」
プロ19年目。日本で110勝、メジャーで79勝。卓越した投球術と、強い闘争心で189個の白星を重ねた。実は打球直撃直後の四回、2死から和田に中前打を浴びたが、ここでも右手は再び打球へ伸びた。「いつも反射的です」と、黒田にしてみればこれは条件反射、無意識の行動だ。40歳。たぎる闘争心に衰えは見えない。残り38試合。黒田はチームの悲願ために、身を粉にして戦う覚悟だ。