エルド代打V弾!巨人戦に今季勝ち越し
「広島2-1巨人」(22日、マツダ)
広島のブラッド・エルドレッド内野手(34)が起死回生の一発だ。0-1の八回に代打で登場し、バックスクリーンへ逆転の9号2ラン。チームの連敗を4で止め、負ければ自力優勝が消滅するピンチを救った。この勝利で7年ぶりとなる巨人戦のシーズン勝ち越しも決定した。
真っ赤に染まった本拠地は、エルドレッドのものだった。拍手喝采を浴びながら、ダイヤモンドを回る。代打で登場し、バックスクリーンへ逆転2ラン。「いいスイングができた」と表情を崩した。チームの危機を救う値千金の一発は、自慢のパワーを見せつけるものだった。
0-1の八回1死一塁。松山に代わって打席に立った。山口の初球、低めの速球を力強く振り抜いた。夜空に舞い上がった白球は、一直線でフェンスを越えた。「代打は難しいけど準備はできていた。練習したことが出せた」と頬を緩めた。
19、20日と先発した中日戦(ナゴヤドーム)は、計7打数無安打。不振に悩む助っ人はこの日の打撃練習で、中堅方向を意識しながらバットのヘッドを残すイメージで振り込んだ。「期待していたところで打ってくれた」と手放しで喜んだ緒方監督。原点回帰が、特大のアーチを呼び込んだ。
力投する福井に白星を付けたい思いがあった。八回に1失点したが、七回まで要所を締める快投を、ベンチから見つめたエルドレッドは「素晴らしい投球をしていながら、なかなか援護できていなかった」と振り返る。力投する右腕のためにも打ちたい-。その姿が打席での大きな力になった。
7月に第3子のシシリアちゃんが誕生した。家族が新たに増え、責任感はさらに強くなった。日本と米国では時差の関係で毎日、連絡を取ることは難しいが「可能な限り電話をしているんだ」。会えない寂しさはある。それでも広島で打ち続けることが、彼女たちに笑顔をもたらすと知っている。
黒星を喫していれば自力優勝が消滅していた重要な一戦。奪い取った白星は、7年ぶりの巨人戦勝ち越しを決めるものでもある。「投手と野手がうまくかみ合えば勝ち星は増える。きょうの1勝はチームにとってターニングポイントだよ」。上位浮上へ、E砲が追走ムードに火を付けた。