新井は諦めない…カープ正念場5・5差
「ヤクルト4-2広島」(4日、神宮)
広島はヤクルトに競り負け、痛い連敗を喫した。初回の3点ビハインドを辛抱強く追ったが届かなかった。ただ2試合ぶりにスタメン復帰した新井貴浩内野手(38)は、三回に反撃の適時打を放つなど存在感を発揮した。首位阪神とは5・5ゲーム差に広がり逆転優勝の夢が遠のく中、ベテランはネバーギブアップの精神を口にした。
唇をかんだ。ベンチを出た新井はグラウンドを歩き、クラブハウスへ歩を進めた。鯉党からは温かい声援が飛んだ。それでも、敗戦の悔しさは増すばかりだった。
「勝たないとね…。いつも言っているように、この時期が来たら状態や調子がいい、悪いとかではない。絶対に打ってやるんだ、という気持ちで試合に入っている」
チームは初回の3点ビハインドを懸命に追った。奮起したのは、前日の阪神戦で、相手先発・藤浪との相性が悪いためスタメンを外れた新井と、エルドレッドだった。
まずは新井だ。0-3の三回1死二塁で、石川の変化球を左翼線への適時二塁打とした。さらに1-3の六回は、エルドレッドが13号ソロを放ち、1点差に迫った。
しかし、反撃はここまでだった。八回、オンドルセクに対し先頭の菊池が左前打、続く新井が四球で、無死一、二塁とした。しかしエルドレッド、梵、松山が倒れ逸機。八回に守備のミスで1点を献上し、競り負けた。
緒方監督は試合後、鯉党の罵声を浴びながら「立ち上がりがね。3点が痛かった。もう一押しができなかった」と嘆いた。首位阪神と5・5ゲーム差。逆転優勝が厳しくなる中「カード頭は取りたかった。また明日、明日」と、自分に言い聞かせるように話した。
最短では6日に自力優勝の可能性が消滅する。新井打撃コーチが「ここから先は技術より気力で頑張ってもらうしかない」と話したように、底力が試される時が来た。
得点圏打率・344。チームトップの勝負強さを誇る新井への期待は大きい。
負けられない戦いが続く。「それはずっと続く。これからも続く。だから一緒。切り替えてやる」と言い切った。最後まで全力プレーを続ける。決してあきらめはしない。