広島・新井貴浩内野手（３８）が１８日、阪神の次期監督就任が決まった金本知憲氏（４７）に“宣戦布告”した。広島と阪神でチームメートとして戦い、公私にわたってお世話になったアニキ。敵将となる来シーズンは私情を一切排除し、手痛い一打を食らわせる決意を示した。

　“アニキ”が敵将になる。「阪神・金本新監督」就任の一報から一夜明け、新井はニヤリと笑みを浮かべながら、初めて感想を語った。

　「エッ本当～！！全然知らなかったよ。本当に。全然知らなかった。（少し考えて）それはそれはおめでとうございます。以上です」

　幼稚園児のお遊戯並みの棒読みで、本音をはぐらかした新井。シーズン中のシリアスさとは正反対の姿が、金本氏との浅からぬ縁を物語っていた。

　金本氏とは前広島在籍時（９９～０２年）、ＦＡ移籍後の阪神在籍時（０８～１２年）に同じユニホームをまとった。試合では頼れる先輩として憧れ、その他では迷惑な先輩として徹底的にいじられた。試合後のお立ち台で、遠征先のホテルで、オフのイベントで…“被害現場と事件”は枚挙にいとまがなかった。

　金本氏の引退試合が行われた１２年１０月９日のＤｅＮＡ戦（甲子園）。新井は故障を押して４番金本に続き、５番でスタメン出場した。引退セレモニーでは涙を流し、セレモニー後には金本氏からベンチ前でビンタを食らった。熱い“兄弟関係”を映し出す場面だった。

　－金本さんの監督姿をどう思う？

　「楽しみですね～」

　－選手と敵将の立場に変わるが？

　「楽しみですね～」

　－金本監督で阪神は変わる？

　「楽しみですね～」

　通信販売のＰＲのような口調で、同じ返答を繰り返した新井。それでもついに「金本阪神」への“宣戦布告”が飛び出した。

　「たくさんのご指導ご鞭撻（べんたつ）を、いまだに受けておりますので。しっかりとお返ししたいですね」

　新井は再びニヤリと笑った。この日はマツダスタジアムに隣接する室内練習場で自主練習を行い、来季への準備を進めた。永遠の“兄弟関係”がたどり着いた新展開。金本氏を落胆させる一打が、何よりの恩返しになる。