黒田 去就決断「難しい」揺れる心激白
広島の黒田博樹投手(40)が30日、揺れ動く胸中を激白した。東京都内で開かれた日本プロ野球選手会の松原徹事務局長(享年58)を偲(しの)ぶ会に出席。来季去就に関して「難しい」と、素直な心中を吐露した。今後は12月前半をメドに、交渉役の鈴木清明球団本部長(61)と会談する予定。それまで自問自答しながら、現役続行か、引退か、進むべき道を探る。
言葉を発しながらも、心は悩み、感情は揺れた。8年ぶりに復帰した1年。凱旋(がいせん)に広島が、日本中が歓喜した。「燃え尽きた」からこそ、再び心に火をともす材料が必要。現役続行か、引退か。迷う黒田が隠すことなく本心を語った。
「今年に入る前、野球人生最高のモチベーションで帰ってきた。最後のつもりで今まで以上に、やってきた思いがある。なかなかそれを、超えるものを探すのが難しい。悔いのないように決めたい」
繰り返す自問自答。自宅のある米国から、先週初めに再来日した。以降は球団行事に参加しながら、時間の許す限り頭を悩ませた。親交の深い新井と食事し、多くの人に相談して助言を請うた。今後は12月前半をメドに鈴木球団本部長と会談する予定。答えはまだ出ない。
現役続行の条件として、黒田は「心技体」の充実を強調する。特に重要視するのは「心」だ。「自分は気持ちで動くタイプだと思う。『体』を動かすのも『心』。そうじゃないと体もついてこない」。昨年までは広島復帰か、メジャーか所属先で悩んだ。来年は41歳。体力の限界が近づくからこそ心を求める。
「どこに移籍するか、というものじゃない。どういう気持ちで野球をするのか。チームのためになりふり構わずマウンドに立った。来年も同じくらいの気持ちで立てるか。1年、年を取って、41歳の体で何ができるのか」
今季推定年俸は4億円。鈴木本部長との電話などでの交渉で「金額についての話は一切ない」と言う。「やる以上は評価されるのは、プロとして大事なこと」と前置きした上で、再度強調したのは「モチベーション」。昨オフ、メジャーからの20億円超のオファーを蹴って復帰。金銭で「心」が左右されることはない。
現在はトレーニングにも「身が入らない」と苦笑いする。「僕を待ってくれる人がいる」と、男気復帰から1年。特別なシーズンだったからこそ「超えないといけない」と、今年以上の戦う理由、覚悟を求めている。決断まで残り10日前後。心は日々、迷い、揺れる。