緒方監督“おやじ”への弔辞でV約束
広島の元スカウト部長で、8日に心不全のため79歳で死去した顧問の村上孝雄(旧姓宮川)さんの告別式が13日、北九州市の斎場で営まれた。広島球団関係者ら130人が故人との別れを惜しみ、村上さんに見いだされプロ入りした緒方孝市監督(47)は弔辞を読み上げ、優勝への誓いを新たにした。
涙はなかったが、緒方監督の言葉は自然と熱を帯びた。「元旦にお見舞いに行ったとき、力強い言葉で『頑張れよ』と言ってくれた言葉は、今でもはっきりと耳に残っています」。プロ入り前から“おやじ”と慕ってきた。優勝して恩返しする-。その思いをさらに強くした。
弔辞を読む予定はなかったが、遺族らの依頼で急きょ前日に決まった。出会いに始まり、自らの礎を築いてくれたことへの感謝の言葉。「ゲンコツを食らったことも覚えています」。厳しい指導の中にあった大きな愛情。かけがえのない恩師に向け言葉を紡いだ。
監督1年目の昨季は、優勝候補に挙げられながら4位。3年ぶりのBクラスに沈んだ。優勝を見せられなかった後悔は強い。「緒方と高のコンビが見たい」。生前の村上さんの口癖だ。今季は高ヘッドコーチとともに指揮を執る。その思いを胸に刻み、チームをまとめていく。
「いい結果報告ができるように、精いっぱい頑張ります。大好きなビールを飲みながら、天国から見守っていてください」。村上さんが最も愛したビール。この日も祭壇に飾られていた。天国のおやじに最高の美酒を届ける。緒方監督が断固たる決意を固めた。