中崎ぼう然 カープ守護神が初救援失敗
「阪神3-2広島」(8日、甲子園球場)
虎党の地鳴りのような歓喜の声がマンモスにこだまする中、広島・中崎翔太投手(23)は肩を落としベンチに下がった。最後は西岡に右越えへ運ばれ、悪夢のサヨナラ負け。不運が重なったとは言え、守り切れなかったリードに、守護神は敗戦の責任を一身に背負った。
暗転したのは2-1の九回1死から。福留が放った打球が、守備固めに入っていた左翼・赤松と遊撃・田中の間にポトリと落ちた。連打で一死一、二塁とピンチが広がり、平常心を保つのが難しくなった。
「しっかり、さばかなければいけなかった」。続く鳥谷の打球は自身の正面へ。球を握り直したことで焦りが生じ、一塁への送球がそれた。「いっぱいいっぱいのプレー」という新井の執念も実らず、ボールは伸ばしたグラブの先をかすめ一塁側ファウルゾーンへ転がった。二塁から代走・荒木が同点の本塁を駆け抜ける(記録は内野安打と新井の失策)。指揮官が鳥谷の守備妨害を抗議したが、判定は覆らなかった。
緒方監督は「1つのプレーをしっかりやろうという話を試合後にした」と前を向いた。今季、初黒星を喫した。守護神の重圧は計り知れないが、中崎はそれを言い訳にはしなかった。「次はしっかりと抑えたいです」。シーズンは始まったばかり。その右腕で悔しさを晴らし、今度こそ勝利のハイタッチをかわしてみせる。