黒田、新井に激励星「全員で後押し」

 「広島3-2阪神」(23日、マツダスタジアム)

 広島・黒田博樹投手(41)が、7回無失点の熱投で3勝目。チームの連敗を2で止めた。新井貴浩内野手(39)の好守に感謝しながら、残り3本に迫る通算2000安打の“前祝い星”。お立ち台からファンに向けて「ここで達成してもらいたい。全員で後押ししてほしい」と呼び掛け、盟友に熱烈エールを送った。運命の第3戦。連勝で大偉業を祝福じゃ。

 思わず天を仰ぐと、打球の追走を諦めた。抜けた-。黒田の絶望は一転、歓喜へと変わる。救世主は新井。1-0の七回無死。ゴメスの一塁線の打球を横っ跳びでつかむと、素早くベースを踏んだ。大声援が注がれる中、右腕は深く息をつき、頼れる後輩に温かな視線を送った。

 「あのプレーが勝敗を分けた。僕にとっても、チームにとっても、非常に大きかった」

 抜けていれば無死二塁のピンチだった。「完全にやられたと思ったから。まさか捕るとは」。ベースカバーにも走れなかった打球。起死回生の超美技に感謝は尽きなかった。2死二塁。最後は今成をフルカウントから8球目、内角の宝刀カットボールで右飛に打ち取った。7回4安打無失点。見事にチームの連敗を止めた、リーグトップタイの3勝目だ。

 前回の16日・巨人戦(東京ドーム)は5回6失点でKO。9日・阪神戦(甲子園)で左足首付近に打球を受けた影響から、調整期間に走り込みができなかった。1週間の修正期間。「状態はよくなかったが、いい時を追い求めても仕方ない」と、ベテランの経験が生きた。内角球を駆使した116球。阪神打線を寄せ付けなかった。

 新井と黒田。運命に導かれるように、2人は広島に戻った。レジェンドは言う。「アイツなら何があっても諦めがつくというか、諦めざるを得ない。それぐらい全て一生懸命やってくれる」。背中で感じる安心感。新井は好守に「黒田さんの時は、最後のひと伸びがある気が…」と不思議な力を明かす。2人の絆で手にした1勝だ。

 これで日米通算200勝まで残り4勝。「それはあまり」。お立ち台では勝利の余韻に浸ることなく、偉業まで残り3本に迫った男へエールを送った。「これだけのファンの前でね。一生に一度しかない。ぜひチームが勝って、ここで達成してほしい」。2000年代前半。空席の目立つ球場で必死に勝利を目指した。観衆は今季最多3万1748人。祝福ムードは最高潮だ。

 運命の第3戦。地元達成には3安打が必要だ。数字上は厳しいが、試合終了まで見届ける。「あしたは勝って、ここで達成させてやりたい。全員で後押ししてほしい」。ファンにも大声援を呼び掛けた。広島で偉業を-。黒田は劇的なクライマックスを信じている。

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