新井 本拠地でついに2000安打王手
「広島2-6阪神」(24日、マツダスタジアム)
大記録へ王手だ。通算2000安打まで3本としていた広島・新井貴浩内野手(39)が2安打をマークし、1999安打とした。今季最多の大観衆の前で四回に右前に運ぶと、5点の大量リードを許した九回には意地の左前適時打。地元・広島のファンの前で達成できず、試合に敗れたことは残念だが、前を向くしかない。あと1本。26日からのヤクルト戦(神宮)で決める。
左前に転がる白球に、球場が沸いた。前日23日の観客動員数を更新する、今季最多の3万1855人が総立ちになった。広島と阪神の両ファンへ、新井が感謝の一打を届けた。地元で節目を達成することはできなかったが、マルチ安打締めで通算2000安打に王手をかけた。
「何とかしたいと思っていた。歓声はすごかったし、うれしかった。でも、きょうの達成を期待してもらっていたファンの人には申し訳ない」
1-6の九回2死二塁。能見の初球、フォークを迷わず振り抜いた。「得点圏だったし積極的に打ちにいった。下半身で粘ることができました」。左翼席の一角以外、真っ赤に染まったスタンドから「新井!新井!」の大合唱。声援を大きな力に変えた左前適時打。四回に右前打を放っており、これが通算1999本目の安打だ。
大記録達成が目前になり、周囲の期待は日に日に膨らむ。スタンドには、残り本数を示す「ARA METER(アラメーター)」が急増した。それでも「(残り3本でこの試合に臨み)もちろん近づいているけど、(緊張とか)そんな感じはなかった。集中して打席に立っているから」。自然体を貫ける強さがある。
個人記録に注目が集まる中でも「チームの勝利が一番」と言い続けてきた。それは偽らざる本心だ。ベンチで出番を待つ選手にも常に気を使い、雰囲気を盛り上げてきた。39歳になっても若かりし頃と変わらない人柄。赤松は「ベンチにいる人にまで声を掛けてくれる。自分が打たなくても、チームが勝てばいいと本当に思っている人。僕たちはその背中を見ている」と、その存在の大きさを明かした。
“マジック1”で26日からのヤクルト3連戦(神宮)に臨む。「しっかりと準備していきたい。プレッシャー?全然。いつも通りですね。理想の1本?特にないよ、何でもいい。チームが勝てば、それでいい」。最後にフォア・ザ・チームを強調した。次の1本が記録達成よりも勝利の扉を開く一打になることが、新井の願いだ。