広島・鈴木に宿る「赤の魂」

 広島・鈴木誠也外野手が右翼の定位置を獲得しつつある。4月26日のヤクルト戦(神宮)では、満塁弾を含む2本塁打で5打点。翌27日の同カードでも本塁打を放った。上位に位置するチームを、勝負強い打撃でけん引している。

 昨オフにはソフトバンク・内川に弟子入りし、打撃技術や打席での心構えなどを聞いた。「すぐに、できるとは思っていない」。それでも一歩一歩、着実に前に進んできた。ある選手は、鈴木の打撃練習を見て「内川さんに似てきている」と言った。

 二松学舎大付高から2012年度ドラフト2位で入団。高卒4年目で、レギュラーを狙える位置までたどり着いた。周囲は、打撃センスにあふれ走攻守3拍子そろった逸材という目を向ける。だが、鈴木にそんな意識は全くない。「へたくそでしょ。だからもっとうまくなりたいんです」。練習の虫、向上心の塊。とにかくバットを振り、技術向上を目指してきた。

 強い危機感もある。まだ4年目の21歳だが、鈴木にとっては「もう4年目」。今季がプロ人生の岐路と捉えてグラウンドに立つ。「結果を出さないと自分の方向性が決まってしまう。左投手が先発ならスタメン、右投手なら代打。そういうことになりかねない」。昨季はスタメン出場した51試合のうち、右投手が先発の場合は9試合しかなかった。チャンスは限られている。今季こそ、相手が右投手でも左投手でも確固たる結果を残すという覚悟だ。

 26日のヤクルト戦では、新井の通算2000安打達成の瞬間に立ち会った。練習への取り組み方や39歳と年齢を重ねても若手と変わらない謙虚な姿勢。そしてチームを思う気持ち。その一挙手一投足は、21歳にとって何にも代え難い最高のお手本だ。「たくさんのことを学んでいる。いつか僕たちの世代が、それを後輩に伝えていきたい」。新井は練習の虫だ。ひたむきにバットを振り続け大記録を達成した。鈴木も新井と同様「赤の魂」を宿している。(デイリースポーツ・市尻達拡)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

カープ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス