広島、ビデオ判定に泣く 勝ち点消えた
「中日3-3広島」(15日、ナゴヤドーム)
あぁ…幻の勝ち越し点。広島は今季最長4時間41分の激闘及ばず、今季初のドロー。同点の九回1死一、二塁から田中広輔内野手(26)の右前打で、二走・安部が本塁突入。一度はセーフと判定されたが、ビデオ検証後にアウトに。本塁打を三塁打と誤審された昨年9月の阪神戦に続き、田中がジャッジに泣かされた。
待望の勝ち越し点。勢いよく安部が三塁ベンチに戻っていくと、敵将の谷繁監督が鬼の形相で吉本球審に詰め寄った。一度はセーフと判定され、スコアボードにも得点が刻まれた。だが、5分間のビデオ検証後にアウトに覆った。幻の1点に泣かされたドロー劇だった。
同点で迎えた九回1死一、二塁。田中が一、二塁間を破った。二走・安部が一気にホームを狙う。前進守備を敷いた右翼・平田も好返球。タイミングは際どかったが、安部が左手でベースに触れた。吉本球審は右手を横に広げてセーフのジャッジ。しかし、中日側の抗議でリプレー検証が行われ、判定が“真逆”に変わった。
「左手で(ホームを)触った。タッチより絶対に早かったと思うんですけど。自信もあったけど、判定なんで…。悔しいですね」。安部は試合後、無念さを隠さなかった。
今季から導入されたコリジョンルール。河田三塁コーチは「それもあった」と振り返る。三塁で止めれば1死満塁で菊池。新ルール、今季無失点中だった田島、安部の足…。あらゆる要素を勘案して右手を回したが、「全責任はオレにある」と潔く非を認めた。
田中にとっては2年連続の“幻”となった。昨年9月12日の阪神戦の延長十二回、外野フェンスを越えてグラウンドに跳ね返った打球を審判がインプレーと判断し、本塁打が三塁打に。痛恨の引き分けに終わり、3年連続のCS進出を逃す分岐点となった試合だ。
この日は“誤審”ではなく、ビデオ映像を何度も見返して下されたジャッジ。「この展開で負けなかったのは良かったですけど、勝ち切れたら、なお良かった。どこかで(運は)返ってきますよ」。田中は恨み節を残さず、勝ち切れなかった事実だけを素直に受け止めた。
4カードぶりのカード勝ち越しはならなかったが、黒田、福井、横山の開幕ローテ投手が不在だった3連戦を1勝1敗1分けのタイで乗り切った事実も尊い。幻をいつの日か目に見える形に変え、進撃の道を突き進む。