安部“落球”同点弾放つも天国から地獄
「阪神4-3広島」(21日、甲子園球場)
試合後の通路を足早に、厳しい表情のまま歩いた。天国から地獄に一転した九回の表裏。打のヒーローが、守で犯したミス。広島・安部友裕内野手(26)は「フライが捕れないと、話にならない」と自責の言葉を繰り返した。甲子園の移ろう風に笑い、風に泣いた。
2点差で迎えた九回。無死二塁から代打で登場した。1ボールから2球目、真ん中に甘く入った146キロ直球を狙った。打球は風に乗ってグングン伸びる。右翼席最前列に飛び込む3号2ラン。土壇場で執念を見せ、起死回生の同点弾。試合を振り出しに戻した。
「あの場面はつなごうという意識で、強い打球を心掛けていた。でも、打ったことは関係ない。ここで何回もやっているので」
本塁打を振り返りながら「守りで…」と、言葉を絞り出した。続く裏の守備。1死満塁で高山の打席。1ボールから2球目、三塁ベンチ前付近に飛球が上がった。一度は捕球体勢に入ったが、風に流された打球の目測を誤りポトリ。結果的に次球で勝敗が決まった。
緒方監督は「本拠地のチームでも難しい。彼の責任とは思っていないよ」とかばいながら、残りの98試合に目を向けた。「いい経験になったと思う。1つの経験にしてもらいたい」。戦いは続く。課題と収穫、反省を繰り返しながら、勝利を求めて戦っていくだけだ。