「神ってる」広島、球団史に残る記録の数々

 今年「神ってる」と言えば、広島を連想するだろう。後半戦に入っても勢いの衰えは見えず、2位巨人に10ゲーム差を付けて首位を独走状態。好調チームは「○年ぶり…」と、数々の歴史的記録達成が続く。いま一度、ここで振り返ってみたい。

 まずは4月2日の巨人戦(マツダ)、先発の黒田が4安打無失点で完封勝利。日本での完封は3226日ぶりで、2007年6月3日の楽天戦(宮城)以来。球団では41歳8カ月で達成した大野豊に次ぐ年長記録となった。

 続く12日の中日戦(呉)。先発・野村が7回1失点の粘投で、エルドレッドの14試合連続安打が決勝打。緒方政権下初で、14年6月7日以来、実に675日ぶりに首位タイに躍り出た。同月15日には単独首位に立った。

 同月26日のヤクルト戦(神宮)では、新井が史上47人目の通算2000安打に到達した。同戦はエルドレッド、鈴木、堂林が3者連続本塁打。嶋、新井、前田で記録した05年以来、11年ぶりの記録が偉業を前にした祝砲となった。5月10日のヤクルト戦(神宮)でリーグ最速20勝に到達した。

 勢いに乗って交流戦に入ると、21歳の活躍でさらに加速する。6月17日のオリックス戦(マツダ)。延長十二回の無死二塁、鈴木がサヨナラ2ランを放った。翌18日にはプロ野球史上10人目となる2試合連続のサヨナラ弾。球団では1984年の長嶋清幸以来、実に32年ぶりの快挙だった。試合後、緒方監督は「神がかっている。今どきの言葉で言うなら『神ってる』よな」と興奮。神ってる-は今季の広島を象徴する言葉になった。

 鈴木は、続く19日の同戦では3試合連続の決勝弾。「信じられない」-と叫んだ。3試合連続の決勝弾は球団では、1996年の江藤智(現巨人打撃コーチ)以来20年ぶりの偉業。交流戦は11勝6敗1分けで、7年ぶりの勝ち越しに成功した。球団史上最高の勝率・647、今季最長6連勝で貯金11となった。

 この勢いでチームは連勝を伸ばして18年ぶりの9連勝、22年ぶりに10連勝、32年ぶりの11連勝まで長期連勝は伸びた。球団記録の12連勝には届かなかったが、最後の日本一に輝いた1984年以来の記録だった。30日のヤクルト戦(マツダ)は、2009年の開場以来最多観客を更新する、3万2292人が来場。ファンのボルテージも高まってきた。

 7月5日の中日戦(富山)で、野村が両リーグ最速の2桁勝利達成。チームでは2012年の前田健太(現ドジャース)以来だった。続く9日の阪神戦(甲子園)では、リーグ最速の50勝に到達した。1996年以来20年ぶりで、7月および前半戦の到達は球団史上最速。82試合目の到達で、試合数では80年の78試合、95年の82試合に次いで、3番目の速さだった。

 前半戦を貯金19、2位・巨人に10ゲーム差を付け、20年ぶりに首位でターン。後半戦に入っても18、19日の中日戦(マツダ)に連勝。19日には新井、田中が、鈴木が3ランを放った。1試合3本の3ランは、1980年9月17日の阪神戦(衣笠、水谷2本)以来36年ぶりの快挙。今季最多で、1996年以来20年ぶりに貯金「21」としたチームには続々と、歴史的な記録達成が続いている。

 残るは2004年の野茂英雄氏以来となる、黒田の日米通算200勝到達だ。緒方監督は新井の2000安打とともに、記録の持つ力について「節目の記録のタイミングで、チーム全体として盛り上げるムードをつくれている。自分の力だけじゃなく、周りの力と、いい相乗効果」と話す。その先に待つ25年ぶりのリーグ優勝、32年ぶりの日本一へ。記録は日々、更新されていく。(デイリースポーツ・田中政行)

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