黒田が日米通算200勝 「自分自身、感動しています」 反骨心胸に戦った20年
「広島7-0阪神」(23日、マツダスタジアム)
積み重ねた白星の先に、大偉業が待っていた。広島・黒田博樹投手(41)が23日、マツダスタジアムで行われた阪神17回戦に先発し、7回5安打無失点の好投で今季7勝目を挙げ、日米通算200勝を達成した。メジャーで79勝、日本で121勝。日米通算での到達は2005年の野茂英雄以来、2人目。苦節20年目、得意とする阪神戦で快挙を成し遂げた。
揺れるスタンド。地鳴りのような歓声。115球の熱投は、記録と記憶に刻まれた。ファンに夢を、チームに勇気を与える1勝。積み上げた白星がついに200の大台に達した。日米通算での到達は公式ではなく参考記録。だが、奇跡を、そして軌跡を見届けた観客の歓声は、絶えることがなかった。
ゲームセットの瞬間、チームメートと握手を交わすと、ホームベース付近で新井から記念プレートを受け取った。セレモニーでは、ビジョンで足跡が紹介された。インタビューでは「一番は、本当にホッとしています。きょう、たくさんのファンの人が集まってくれて、きょう来ていただいたファンの人の前で何とか決めたいという思いでマウンドに上がっていました。いつもファンの人に背中を押されて、心が折れそうな時でもマウンドに行く気持ちを常に持たせてもらって、本当に感謝しています」と、黒田らしくファンへの感謝を口にした。
広島に復帰して2年目で、本拠地での快挙達成。「まさかこういう日を迎えられると思っていなかったので、本当にうれしく思っています。自分自身でも実感がわかないというか、本当にそこまで勝ったのかなという感じですし、日本に限らず、アメリカのチームメートとか、サポートがあってここまで来られたと思っています」と振り返った。そして「チームのために201勝目を目指して準備して、大きな目標に向かって戦っていきたいと思っています」と誓った。最後にファンへのメッセージを求められて「最高のチームメートと、最高のファンの前で、最高のマツダスタジアムで、こうして節目の勝利を挙げられて、自分自身、感動しています。ありがとうございました」と結んだ。
黒田は上宮高、専大を経て、1996年度ドラフト2位で広島に入団。97年のプロ初登板から、通算525試合目での達成だった。「こだわってきた」と話す投球回は、3291回2/3を数えた。150キロを超える直球と、フォークを武器にした投球スタイルから進化の道を追求した。メジャーで代名詞となったツーシームに、カットボールなど動く球を習得した。
常に胸にあったのは「反骨心」。「プロの世界は、結果がすべてだと僕は思っていた。常に結果。毎年、結果を残し続けるというのを自分のモチベーションというか、それが反骨心になっていた。20年もいればいろんな選手とか、素晴らしい選手でも1、2年たてば自分の置かれる環境、立場は変わってしまう。その中でどうやって生き抜いていくかを常に考えながら、マウンドに立ち続けるというのを目標、モチベーションにやってきた」。変化を恐れなかった。
阪神戦は球団別の勝利数でトップの24。今季4試合の登板で2勝0敗、昨年は4勝0敗(防御率2・40)と、日本球界復帰後は負けなしの虎キラーだ。「強い相手に負けたくない」-と反骨心で戦ってきた20年。野球人生を象徴するような1勝で、チームの貯金は今季最多の22となった。