【広島緒方監督夫人・緒方かな子さん特別手記】「神ってる」生み出した次女と長男
「巨人4-6広島」(10日、東京ドーム)
広島カープがついに、ようやく、25年ぶりにリーグ優勝を手にした。12球団で最も遠ざかっていた頂点。就任2年目の緒方孝市監督(47)が7度、宙を舞った。
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パパの夢がかないました。ずっと言い続けてきた「カープでの優勝」。カープ愛は、家族のことが好き、という気持ち以上かもしれません。最高の笑顔に私もこみあげるものがありました。監督として大きな夢を実現できたことに、うれしい気持ちでいっぱいです。
自分の思いを言葉に変えて伝えるタイプではないんです。ただ、それはパパのスタイル。家で野球の話をして息を抜く場所がなくなることはしたくありませんでした。けれど去年、報道を見ていてパパの思いがうまく伝わっていないんじゃないかと感じたことがありました。
こっそり手紙を渡したり、家族会議をして長女が話をしたりしたことがあります。長女が好きな選手について「厳しく言ったことで傷ついたらどうするの?そんなことは言わないで」と。そのときパパは「俺も大好きな選手で、彼はもっと上にいけるし、それは伝えている。記者には言っていないけど、お互いにわかっているから大丈夫」と言いました。
それを聞いた長女は「周りの人やファンは心配するし、新聞を見た選手もあれ?って思うことがあるんじゃない?って。だから『俺は選手を思っているからこそ』とか、自分の思いをもう一言入れることが大事だと思うよ」って返したんです。去年1年は家族にとって「伝える年」。良いと思うことは全部吸収して実行に移してきた人。心に響けば形にしてくれると信じてきました。
「神ってる」という言葉は、次女と長男が使っていたのは知っていたんです。長男に聞いたら、ゲームで神業が決まったら「俺、神ってるだろ」っていうような使い方みたいです。次女の方は「神がかっている」という意味。好きな芸能人ではないですが「ファンへの神対応」とか、そういう感じで「神ってない?」という使い方をするみたいです。確かに2人はその言葉をパパの前でよく使っていました。でも長男かな。一緒に将棋をするときにうまく駒を進めたら「俺、神ってるじゃろ!」って。「神ってる」が流行語大賞に選ばれたら、次女と長男がトロフィーをもらいに行くって言っていました。どっちが行くかは、じゃんけんで決めるそうです(笑)。
FAの権利を取ったとき、カープに残って優勝することに意味があると言っていました。去年、勝てなくていろいろ言われましたが、愚痴をこぼしたことはありません。「みんなカープが好きだし、ファンの応援があって前に進める。だから恩返しがしたい」と。ようやく期待に応えられたと思います。ここまで支えてくださった球団の方、一緒に戦ってくれたスタッフ、選手、そしてファンのみなさま、本当にありがとうございました。そしてこれからも応援していただければ幸いです。
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緒方 かな子(おがた・かなこ)本名・緒方可奈子。1973年3月4日生まれ、43歳。広島市出身。90年に中條かな子として芸能界デビュー。女優、歌手、パーソナリティーとして活躍。96年に結婚。長女・佑奈(19)、次女・祐希奈(17)、長男・将孝(10)の3児をもうける。株式会社Yellow所属。