【広島V検証】高ヘッドコーチの豊富な経験が快進撃呼んだ

 「常勝鯉の幕開け 25年ぶりV検証(中)」

 緒方監督は常々「チーム一丸」という言葉を強調してきた。同じ目標に向かって歩みを進める-。もちろん、その言葉はコーチ陣にも当てはまる。1軍スタッフをまとめたのが、高ヘッドコーチだった。

 緒方体制2年目の今季から重責を担う。就任当初から気にかけたのが「コーチ陣の一体感」だった。2軍監督を務めていた昨季、1軍の現場にはいなかったものの「コーチ間で意思疎通が欠けていた」と振り返る。選手に一丸を求めるなら「コーチもまとまらないと」。強い使命感があった。

 “中間管理職”を買って出た。監督とコーチ陣の間に入り、それぞれの意見を聞いた。「監督や他のコーチに言いたいことがあれば、どんどん言って来てくれと伝えた。やりやすい環境を整えるのもヘッドの仕事」。東出打撃コーチが、選手の入れ替えについて相談したことがある。風通しをよくしたことで、結束力が失われることはなかった。

 屋外球場を本拠地としながら、選手は夏バテ知らずだった。コンディションを維持できたのも、高ヘッドコーチの功績だ。5月の段階で、指揮官に試合がない日の野手練習なしを提案した。「監督もスケジュールを任せてくれた。僕たちが現役のときと、今では気温が全く違う。積極的休養と言うかね。休みにして、選手それぞれが必要だと思うことをすればいい。柔軟にね。勝負は夏場の8、9月なんだから」

 以前、他球団に移籍した選手が、ポツリともらしたことがある。「夏場にずっと外で練習していると、どうしてもバテてしまう。ドーム球場でプレーするようになってから、夏場を迎えたときの疲れ方が全く違うんです」。わずか1日の休養日。それでも、小さな積み重ねが好結果として表れた。7月は13勝8敗、8月も17勝8敗と、着実に白星を増やした。「大きな故障者が出なかったし、夏場に失速しなかった。狙い通りになった」と高ヘッドコーチ。長期的なビジョンが、ずばりとはまった。

 試合中は、緒方監督の横でサインを送る。指揮官の腹心として、その役割を果たした。2軍監督や1軍でもさまざまな部門を担当してきた。豊富な経験がチームの快進撃を支えた。

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