野間CS秘密兵器だ「僕には足がある」猛アピール猛打ショー
「阪神4-6広島」(14日、甲子園球場)
広島・野間峻祥外野手(23)が「6番・左翼」で先発出場し、今季初の猛打賞でCSファイナルSのメンバー入りへ猛アピール。短期決戦での右投手対策としての起用に応えた。今季43度目の逆転勝利で、球団記録を更新する貯金「36」に貢献。し烈な競争を勝ち抜いて秘密兵器になる!
初めてCSファーストSに出場した13年のように、敵地の左半分が真っ赤に染まった。大声援が背中を大きく後押しする。輝きを放ったのが野間だった。3安打1打点。持ち味の俊足でも1点を奪った。生き残りをかける若鯉が、躍動感いっぱいに暴れ回った。
「後ろに良い打者がそろっているので、つなぐことだけを意識しました。でも、打ったからといって、やることは変わりない。チャンスを生かして、CSのメンバーに残れるようにしたい」
1点を先取した後の初回2死一、三塁で左前適時打。藤浪の直球をはじき返し、三遊間を破った。六回には投手強襲内野安打。八回は中前打で好機を拡大し、自慢の俊足で決勝点をもぎ取った。
八回、安部の打球が右翼・福留の頭上を越える間に、一塁から本塁へ。赤松にヒケを取らないチーム屈指のスピードスター。一気にトップスピードに乗り、捕手・原口のタッチをかいくぐった。八回の守備でも原口の左翼線への飛球を難なく捕球した。
新井がベンチスタート。短期決戦での対右投手を見据え、緒方監督は左打者を多く起用した。4番に松山、6番に野間、そして7番に安部を置く布陣。1試合で、その後の流れが変わる短期決戦。勝利を確実に引き寄せるメンバー構成を指揮官はテストしている。
1軍に全試合帯同した昨季とは異なり、今季は2軍で力を磨いてきた。「僕には足がある。追い込まれた意識で打席に立っていた。バットに当てれば何かが起こる」。経験値を増やし、しぶとい打撃を身に付けた。10日の1軍昇格後は、強化指定選手に選ばれ、宿舎で1時間の素振りが日課だ。その高い素質は誰もが認めるところ。小さな努力が確実に実を結びつつある。
CSファイナルSのメンバー入りは決して簡単ではない。それでもこの日、走攻守で見せたプレーは、チームに新しい推進力をもたらすものだ。「結果は評価したい」と緒方監督。残り9試合。すべてをかけて、野間がグラウンドに立つ。