野村15勝“マエケン超え”見えた カープ球団記録更新の貯金「38」
「広島8-0中日」(16日、マツダスタジアム)
広島の野村祐輔投手(27)が、リーグトップのジョンソンに並ぶ15勝目を手にした。7回4安打無失点。打たせて取る持ち味を発揮して、中日打線を手玉に取った。球団の日本投手での15勝到達は、昨季の前田(ドジャース)以来。チームは4連勝で、貯金は球団記録を更新する「38」。90勝まであと4勝に迫った。
満員の球場が、さらに真っ赤に色づき始めた。七回2死一塁。ラッキーセブンの攻撃を前に、鯉党が赤いジェット風船の準備を始める。高まるボルテージ。その中で野村が高橋を空振り三振に斬り、ほえた。応えたかった。感謝の思いを込めた100球目だった。
「たくさんの声援に背中を押してもらった。勇気を持ってマウンドに上がれた」。2年連続で主催試合200万人を突破した節目の試合。白星を届けたかった。
強みを前面に押し出した。両コーナーに狂いなく制球し、凡打の山を築く。七回無死一塁では、森野を二ゴロ併殺に仕留めた。「後半になるにつれて良くなった」。回を追うごとに精度が増したチェンジアップが威力を発揮。この日は3併殺。一度も二塁を踏ませない投球で15勝目を手にした。
開幕ローテでは4番手の位置づけ。そこからジョンソンと並び大黒柱に成長し、チームを支えた。現在メジャーで活躍中の前田(ドジャース)が昨季挙げた勝利数に並んだ野村。「僕一人じゃなくチーム全員の勝ち星。きょうも野手がしっかり守って、投げやすい環境をつくってくれた」。自らの力で試合を制する投球スタイルではない。野手と共に積み重ねるアウト。感謝の思いはいつも胸にある。
かなえたい夢がある。25年ぶりの優勝を決めたのは10日、敵地での巨人戦だった。歓喜の瞬間、真っ先にベンチから駆けだした。初めてのビールかけでも喜びを爆発させた。それでも何か物足りなさを覚えた。「やっぱり地元で優勝したい。CSはマツダでやる。そこでみんなと喜びを分かち合いたいですね」。優勝の翌日、ポツリと漏らした。
勝ち星はリーグトップのジョンソンに並んだ。助っ人左腕と残り1試合の登板で最多勝を争うが、タイトルに興味はない。「先の事の方が大事。これから負けられない戦いが始まる」。セ界の王者として臨むCSファイナルSを勝ち上がり、地元で喜びを分かち合う。最高の瞬間を広島で迎えるために、野村が準備を始める。