広島、25年ぶり日本シリーズへ 驚異の打率8割超!田中広輔MVP
「セCSファイナル・第4戦、広島8-7DeNA」(15日、マツダスタジアム)
セ・リーグは広島がDeNAに勝ち、25年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。この日も1番の田中広輔内野手(27)が2安打2打点1得点と打線をけん引。4試合17打席、12打数10安打5四球。打率・833、出塁率・882と驚異的な活躍を見せ、最優秀選手(MVP)に選ばれた。22日にマツダスタジアムで開幕する日本シリーズでは、1984年以来32年ぶりの日本一を懸け、日本ハムとソフトバンクの勝者と対戦する。
マツダスタジアムが揺れた。勝利の瞬間、ファンは総立ち。熱気は赤い波と化し、スタンドで大きくうねった。難敵を振り切り、つかみ取った日本一への挑戦権。祝福ムードの中、グラウンドには歓喜の輪が広がっていく。重圧から解放されたMVP・田中が心の底から笑った。
1975年10月15日。41年前に広島が初のリーグ優勝を果たした日に、球団史上初のCS突破を果たした。
「ほっとしている。リーグ戦をぶっちぎりで優勝したので、見ている方は、勝って当たり前だと思っていたと思う。その中で勝ち切れてよかった」
第4戦も田中で始まり、田中で終わった。初回無死は11球粘って四球。打者が一巡して迎えた2死一、二塁で右前適時打を放ち、一挙6点の猛攻を締めくくった。
五回2死二塁は三遊間を破る左前適時打。終盤はDeNAに追い上げられただけに、この8点目が勝利へのポイントとなった。
今ファイナルSは4試合で17打席に立ち、12打数10安打5四球。打率・833、出塁率・882。まさに“神ってる”活躍だった。
「自分でもびっくりしている。一生に一度しかないと思うので、今日だけこの数字を味わいたい」
緒方監督も驚きを隠さなかった。「このシリーズ、“神ってた”ね。(過去の1番打者で)あんな活躍を見た記憶がない。過去にいなかったでしょう。キーマンになってくれた。ラッキーボーイではない。素晴らしい活躍だった」。CS突破の原動力に、最大級の賛辞を贈った。
不動の1番が短期決戦で見せた圧倒的な存在感。どこから生み出されるのか。「自分が打てなくても勝てばいいし、数字を気にする必要もない。それが合っているんじゃないかと思う」。社会人野球、JR東日本での一発勝負の経験がプロでも生きた。
自分の打撃を分析する余裕もあった。「今は自分が思っているものとは全然違う。今はバットをいかに最短で出して、芯に当てるかということしか考えていない」。1番として出塁して、流れを生み出す。菊池、丸につなぐ意識が最高の結果へとつながった。
CSを突破したが、まだ道半ばだ。22日からは日本シリーズが始まる。「テレビで見ていた側なので、どんな雰囲気かも分からない。思い切ってやりたい」。頂点は視界に捉えた。さあ、一気につかみ取ろう。32年ぶりの日本一を-。