黒田でカープ日本一に王手だ! 第3戦先発…勇姿を目に焼き付けろ!
「日本シリーズ・第3戦、日本ハム-広島」(25日、札幌ドーム)
広島は24日、日本シリーズ第3戦へ向け、チャーター機で空路札幌入りした。今季限りで現役引退を表明している黒田博樹投手(41)は、先発する25日の第3戦に備えて札幌ドームでの投手指名練習に参加。マウンドで21球を投げて最終調整した。チームは2連勝中。この登板が現役最後になる可能性があるが、チームを日本一に導くことだけを考えてマウンドに立つ。
静まりかえった札幌ドーム。ピンと張り詰めた空間に、キャッチャーミットが奏でる乾いた捕球音だけが響き渡った。現役最後になるかもしれない25日の登板に備え、黒田がマウンドに立つ。直球、スライダー、ツーシーム…。傾斜、硬さなどの感触を確認しながら全球種21球を投げて、最後の調整を終えた。
「(札幌ドームは)結構、来ているから。オールスターでも長嶋ジャパンでも。マウンド?あまり気にならなかったね」。札幌ドームでの最後の登板は、05年6月14日。実に11年ぶりとなるが、気にも留めなかった。
午後3時半から始まった練習は、緊張感に満ちあふれていた。ダッシュ、キャッチボール、遠投とメニューを消化した。10日の練習中に気にするそぶりを見せた右肩には、入念にマッサージの時間を割いた。体は満身創痍(そうい)。それでも覚悟を決めて右腕を振り切るだけだ。
盟友・新井の「ファンの人に引退を知った上で、最後の勇姿を目に焼き付けてほしい」という思いに促され、18日に日本シリーズを最後に現役を引退する意向を表明した。32年ぶりの日本一を勝ち取る戦いは、黒田を笑顔で送り出すための戦いともなった。
この日は、チャーター機を利用して空路札幌入り。移動前の広島空港には、約1000人のファンが詰めかけ、到着地の札幌空港でも約300人が出迎えた。大声援を背中いっぱいに浴びて身が引き締まった。恩返ししたい気持ちはさらに強くなった。右腕は「ファンに喜んでもらうために頑張りたい」と言葉を紡いだ。
ジョンソン、野村と2連勝で黒田にバトンがつながれた。現役最終登板となる可能性もあるが、感傷的になることは決してない。以前から「常に最後の気持ちで投げてきた。どんな試合でも、それは変わらない。死に物狂いで投げるだけ。個人的なことは抜きにして」と言い続けてきた。勝って日本一に王手をかける-。シンプルな思いを胸に、黒田が全身全霊を注ぐ。