黒田で逆転日本一!第7戦先発で「全力を出し切る」VS大谷で最高の有終へ
広島の黒田博樹投手(41)が28日、マツダスタジアムでの投手指名練習に参加。日本シリーズ第7戦での先発に向けて調整した。チームは2勝3敗で広島に戻った。29日の第6戦に負ければ日本一を逃し、自身にも登板機会は巡って来ない。チームメートを信じて待つのみ。32年ぶりの頂点に向け、気持ちを一つにして臨む。
最高のラストマウンドが用意された。第6戦、第7戦に連勝すれば、32年ぶりとなる日本一が待っている。長いシーズンを戦い抜き、たどり着いた今年最後の大一番を、黒田に託す。
第7戦先発を見据え、黒田は27日に一足早く野村とともに帰広。その日のうちにマツダスタジアムで体を動かした。この日、本拠地で行われた投手指名練習には、29日の第6戦に先発する野村と27日・第5戦に先発した岡田とともに参加した。黒田は「(登板日は)監督、コーチに聞いて」と言葉を濁したが、岡田は残り2試合をブルペン待機する予定で、第7戦の先発は黒田しかいない。
前回25日の登板では六回、大谷を左飛に打ち取った直後に両ふくらはぎがけいれんするアクシデントで降板した。この日の練習ではダッシュ、キャッチボールをこなし、患部を気にするそぶりはなかった。「体は全然、大丈夫だし、そうは言っていられない。最高のパフォーマンスを出したい。全力を出し切る」。今季初の中4日登板。満身創痍(そうい)の体にムチを打って、チームのために身を粉にする覚悟を決めた。
本拠地で2連勝後、札幌ドームで3連敗。第6戦に負けると、黒田の登板機会はなくなる。日本一は2連勝が絶対条件だ。崖っぷちながら残り2試合は今季、圧倒的な強さを誇ったマツダスタジアムが舞台。「ファンの応援は力になる。僕たちにアドバンテージがある。もう一度、チームで踏ん張るしかない」と前を向いた。緒方監督も「頑張ります」と短い言葉に勝利への強い思いを込めた。
投げ合う相手は大谷が濃厚だ。165キロ右腕への質問が飛ぶと、背番号「15」は「別にコメントすることはないです」と言った。18日、日本シリーズを前に引退を表明したが、最後まで悩んだのはチームへの影響だった。現役最後の登板になる今回も、そう。個人的な思いは胸にしまう。「日本一になるためにやってきたんだから」とフォア・ザ・チームを強調した。
逆転での栄冠へ。ともにシーズンを戦い抜いてきた仲間を信じて、黒田が自らの出番を待つ。