広島・黒田 マウンドにお別れ 「クロダ」コールの中、膝ついて涙に暮れる

引退セレモニーの最後に、マウンド前でひざまつき号泣する広島・黒田博樹=マツダスタジアム(撮影・吉澤敬太)
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 25年ぶりのリーグ優勝を果たした広島が5日、本拠地のマツダスタジアムで優勝報告会を行った。今季限りで現役を引退した黒田博樹投手(41)は、最後となったユニホーム姿で大粒の涙に暮れた。「世界一のカープファンの前でユニホームを脱ぐことができる。最高の引き際でした」と感謝の思いを述べた。

 「リーグ優勝の時の胴上げを大切にしたいから」と拒否していた胴上げだった。だが、新井らに促されると、マウンドの中央へ。背番号と同じ15回、高々と宙に舞った。その輪が解けると1人、1人と言葉を交わしながら抱擁。最後は1人マウンドに残ると、おもむろにマウンドの手前で右膝を付いた。

 現役生活20年。思いが脳裏を駆け巡ると、しばらく顔を上げられなくなった。涙、涙に暮れる。真っ赤に染まったスタンドからは、「クロダ、クロダ…」の大合唱が鳴りやまなかった。「いろいろ…いろんな苦しい思いをしたので。あのマウンドに立って、スタンドを見るのも最後かな、と思うと」と話す言葉が詰まり、感謝を述べてまた涙に暮れた。

 「あのマウンドにもう上がらなくていいんだ、という気持ちと。もう上がれないんだという気持ちと。最後の最後まで野球の神様がいると思って、野球を続けてきたので。20年間のお礼ですね」

 広島で投げた方が、1球の重みを感じられると昨年、広島に電撃復帰を決めた。今季、チームの精神的な支柱として、25年ぶりのリーグ優勝達成。「出来過ぎの野球人生」とし、現役最後の瞬間に「このメンバーで野球ができなくなるさみしさと、マウンドの景色を見ることができないさみしさがある」と、しみじみと振り返った。

 引退会見で「涙はいっぱい流してきたので、最後くらいはいいかな」と話していたが、最後は涙のフィナーレとなった。スタンドも涙に暮れた。「本当にありがとう」の声援が鳴りやまなかった。

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