落合監督、電撃“クビ”発表…7年間でリーグV3度も高年俸&黒字収支1度もなし
【2011年9月23日付デイリースポーツ紙面より】
電撃解任―。中日は22日、今季で3年契約が切れる落合博満監督(57)が今季限りで退任し、新監督にOBの高木守道氏(70)が就任すると発表した。過去7年間でリーグ優勝3度、日本一1度に輝いた名将。球団史上初のリーグ連覇に望みをつなぐシーズン途中での解任発表に激震が走った。
事実上の解任。オレ流指揮官がクビを通告された。首位・ヤクルトに4・5差に迫り、本拠地で4連戦を戦う前に行われた異例の記者会見。球団史上初のリーグ連覇が消えたわけではない状況。会見に坂井球団社長は同席せず、最初から佐藤球団代表のイスひとつしか用意されていなかったのも異常を示していた。
「野球殿堂入りをされた今年が節目ではないかと。一度新しい風を取り入れたい」と佐藤球団代表は話したが、後任に座るOB会長の高木氏も06年に野球殿堂入りを果たしており、92年から4年間、中日の監督を務めている。野球殿堂入り。新しい風。持ち出した2つの項目は到底、解任の理由には当たらず、表面上だけを取り繕ったとしか言えない。
なぜ解任なのか。3月25日の定時株主総会で選任された坂井球団社長は、白井オーナーから球団の赤字体質改善の勅命を受けていた。年俸3億7千万円(推定)とされる落合監督。他球団と比較してもズバぬけて高い首脳陣の年俸。輝かしい成績を残しながら、過去7年間で黒字収支は1度もなかった。首のすげ替え、首脳陣の一新が、球団経営を改善させる手っ取り早い手段だと考えた。
東日本大震災の影響でシーズン終了がズレ込む今季。来季のチーム編成、ドラフト会議等の日程面を考えての早期発表となった。
「優勝に対する強いこだわり。強いチームの基盤はできている。この時期の発表、公表が悪影響を及ぼすとは心配してない。かえって、節目を飾るにふさわしい、監督を胴上げするんだということで、全力を尽くしてくれると思っている」と佐藤代表はマイナス材料はなく、プラス面だけが存在すると強調したが、現場の空気を無視した突然の発表は、球団史上初のリーグ連覇に向けた選手の士気を下げる可能性をはらんでいる。
解任通告を受けた席上、落合監督は「はい、分かりました。残り試合も全力を尽くします」と話したという。だが、あくまでグラウンドで戦うのは選手。経営判断だけが先に立った今回の解任劇は、残り25試合の展開を下方向に左右する材料になるかもしれない。