動かぬ由伸監督、大監督になる資質ある

 巨人が昨年の覇者ヤクルト相手に3タテでスタートを切った。開幕前にいろいろとあったから、ホッとしている人たちがいっぱい、いるんじゃないかな。

 しかも3勝の内容がいい。開幕戦は接戦をものにして3-1。菅野が大黒柱らしく7回無失点、最後は沢村が3人でぴしゃりと抑える勝ち方だ。2戦目は打線が10点奪って大勝。九回に投げた戸根の防御率は40・50だけど、先発野手全員に安打が出た。

 そして3戦目は4番・ギャレットが八回に逆転2ランを放って劇的な白星。3試合とも違う勝ち方で、圧勝、圧勝の3連勝とはまた違った雰囲気のよさを生んだんじゃないかな。

 高橋由伸監督は緊張もあっただろうけど、落ち着いて開幕3連戦に臨んでいた。だいたい新人監督っていうのは動きたがるものなんだ。あの終身名誉監督も昭和50年(1975年)の監督1年目はエンドランやバスターのサインをバンバン出していた。無死二塁からエンドランってのもあったぐらいだ。

 でも監督が自分で動いて勝てる試合って、そんなにはない。由伸監督は初陣でじっくりと腰を据えて試合を進めていたのが印象的だった。

 象徴的なのが開幕戦で、1-0の七回1死一、二塁で8番・小林誠に打席が回っても代打を送らなかったこと。次打者の菅野に代打で勝負をかけるつもりはあっただろうけど、結果は小林誠が指揮官の信頼に応えて2点二塁打。負けが込んだときにどうするかとか、まだまだこれからだけど、個人的には大監督になる資質はあるとみる。

 この上ないスタートで、巨人ファンはもちろんだけど、首脳陣も球団職員も、巨人に関わるみんなが安どしたと思うよ。

 今回の問題で巨人の球団職員が、業務提携している企業や学校に謝罪行脚しているのも知っている。巨人OBの末端にいるオレなんかも、行きつけのサウナで知り合いのオジさんから「今回の3人プラス1人はみんなピッチャーですね。関本さんもピッチャーだったでしょ」なんて言われているぐらいだから。

 負け越しでもしていたら「そら見たことか」と暗い雰囲気に包まれていただろう。もちろん、あの問題は別もの。選手や関係者1人々々が自分を律していかなければならないけど、チーム自体はこれで落ち着いたんじゃないかな。

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