愛媛・伴 弟の思い背負い剛腕サイドへ
【愛媛・伴 和馬投手】
1日、北米遠征に出発するメンバーが全員集まっての記者会見が、松山市内で行われている。だが、そのなかに伴和馬の姿はなかった。
遠征メンバーから漏れた悔しさは、後期のパフォーマンスで晴らす。これから2カ月の中断期間、覚悟をもって練習に取り組むつもりだ。
昨季後半、腕の角度を少し下げた。
「イメージは腕を真横に振る。ほんとにサイドスローのイメージで。去年はスリークオーターくらい。今年のほうが多分さらに低いので、イメージと実際の動きがあってきたんだと思う」
アイランドリーガーとなって5年目、これまで多くの試行錯誤を繰り返してきた。上に行くために何か特徴がほしい。昨年10月、フェニックス・リーグで森山一人コーチ(当時)に言われた言葉が耳に残っている。
「サイドまで下げちゃえばいいんじゃないの。お前なら体強いから、それでも140出るだろ」
NPBのスカウトに「仕事場がある」と思わせられる投球フォーム、ボールがないと、ドラフトにはかからない。今季、最速値は145キロまで上がった。さらにプラス5キロを目指す。
「スピードのことばかり言いたくないんですけど、出さないと見てもらえないので」
開幕前に黒いグラブを新調した。弟・拓哉さんが「一回ぐらいオーダーメードで作れよ!」と言って、プレゼントしてくれたものだ。
「『お金はオレが全部出す!』って。頑張ってほしいんでしょうね。弟はヒザを痛めて、高校野球がやりたくてもできなかったので。『その分も背負って』とは言い過ぎですけど、グラブ分は背負ってます」
思いのこもったグラブだ。使い心地が良くないはずがない。
「やっぱ、いいですよ。弟の気持ちが入っているので。弟のSNSのプロフィル画像、僕のグラブの写真なんですよ。『どんだけ気に入っとんや!』って」
その期待に最大限応えるために、ドラフト指名を目指す。150キロを投げる“剛腕”サイドスローとなって、必ずNPBへ。