香川・小牧、大ケガを乗り越えて-阪神・藤浪からの死球で右ひざ骨折
【香川・小牧泰士内野手】文=高田博史
小牧泰士に「2年間で最も記憶に残っていることは?」と尋ねた。
「後期優勝できたことですね。みんながまだ1年目、2年目の若いときに優勝を経験できたことは、これからの財産になっていくと思うので」
社会人野球を経て2016年、25歳で香川に入団した。だが、2カ月後の3月23日、阪神2軍との交流戦(鳴尾浜)で藤浪から死球を受け、右ひざ骨折の大ケガを負う。ひざにボルトを入れる手術を行い、2カ月で復帰した。1年目は39試合に出場している。
「香川に来たときは、ラスト1年勝負しようと思っていました。骨折があって、一度冷静に考えて、もう1年だけやらせてもらおうと」
当初は頭になかった2年目に臨む決心をする。キャリアの浅い選手が多いなか、26歳の小牧が主将を務めることは当然の流れだった。
15年前期以来となる後期優勝を果たし、チャンピオンシップでは個人として敢闘賞を受賞している。最後のユニホーム姿となった宮崎でのフェニックス・リーグでも躍動してみせた。
「最後まで何が起こるか分からない、という気持ちでやろうとは思ってました。監督(西田真二監督)も、ずっとショートで使ってくれたので。やれることだけはしっかりやろうと」
京都から家族が応援に来てくれていた。母・丈子さんから「おつかれさま」と声を掛けてもらっている。
「最後の挑戦ができる場所だと思って来て、ここでしっかりけじめをつけようと思っていたので。いろんな経験ができて、香川に来られて良かったと思います」
最も印象に残るゲームは手術後、公式戦初出場となった対高知前期5回戦(16年5月18日、Cスタ丸亀)だ。七回表から守備に就き、痛みをこらえながら九回裏に右前安打を放っている。
アイランドリーグとは「上に行けるか、野球を辞めるかを決める場所」と言った。2年間に悔いはない。
「ガイナーズはホントにこれからなので。ファンの方には若いみんなが、どういうふうに成長していくのかを見届けてほしいです」
最後の最後まで、ガイナーズの主将として--。