「浜ちゃん」なんておそれ多くて言えません。阪神・浜中おさむ外野手(25)が逆転6号3ランに超特大7号の連発。プロ初の爆発に、雨の中で声援を送った3万5千の虎党も大満足だ。今季初の同一カード3タテ、そして4連勝で、単独首位返り咲き。よっ浜サマ、水もしたたるいい男―。
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横 浜 |
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阪 神 |
4 |
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0 |
3 |
× |
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9 |
勝:下柳1勝
S:− |
本塁打:浜中6、7号、桧山3号 |
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雨空に向かって、右腕をグッと突き上げた。地鳴りのような大歓声が、さらに胸の鼓動を激しくさせた。自身初の2打席連続アーチ。興奮とともに浜中はダイヤモンドを一周した。至極の瞬間。自然と表情が緩んだ。
これぞ4番―の連発ショーだった。まずは1点を追った初回一死一、二塁。吉見の投じた速球を左中間に運んだ。逆転3ラン。お次は三回だ。先頭で打席を迎えると、カウント0―3からの速球をまたも左越えに叩き込んだ。見事な連弾に、雨でびしょぬれの虎党も狂喜乱舞した。
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雨の降りしきる甲子園で6回2失点。移籍初勝利を挙げた下柳 |
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「2本というのはまぐれ。でも本当にうれしいです。最高です」。下柳とともに上がったお立ち台。今季初の4連勝、同じく初の3タテにチームを導いた浜中は、そう声を弾ませた。
四回裏の攻撃前。雨のため試合が中断された。そのまま中止では、すべてが「幻」。再開を待つ間にはナインから冷やかしも受けた。ベンチ裏では降雨予想のレーダーにも目をやった。「やれると思っていた」。信じる心が天に通じた。
宿敵にリベンジを果たしたことにもそう快感があった。同じ和歌山県出身、同い年である吉見には開幕戦で“3タコ”に抑えられた。昨季は打率・429と打ち込んだが「開幕のイメージが僕の中で強かった。同級生に抑えられるのは嫌ですから。これで五分」。ずっと引きずっていた胸の曇りもやっと取れた。
前日の試合終了後。偶然、風呂場で一緒になった田淵チーフ打撃コーチに、一つのアドバイスを受けていた。「打つ時に浮き上がる感覚がある」と語った浜中に対して、師は顔の位置を後ろに残すように助言した。「本人の努力だよ」と田淵コーチは軽く流したが、2人の絆が打たせた2発でもあった。
八回にも左前適時打を放ち、自身タイの1試合5打点も記録した。「最後に打ったのは大きい。これからにつながりますから」。だがまだ納得していない。優勝という2文字をつかむまで、虎の「4番」はヒートし続ける。(岡本浩孝) |