内柴被告、死んでわびを…妻に諭された

 指導していた大学の女子柔道部員を合宿先のホテルで乱暴したとして、準強姦(ごうかん)罪に問われたアテネ、北京両五輪の金メダリスト内柴正人被告(34)の第5回公判が28日、東京地裁(鬼沢友直裁判長)であり、弁護側の被告人質問が行われた。被告は「同意の上での行為」と無罪を主張。教え子と関係を持ち、周囲に迷惑をかけたことには「死のうと思っていた」と話した。

 内柴被告は公判で「部員が寝ていたときに性行為をしたというのは事実ではない」と述べ、あらためて同意の上での行為だったと無罪を主張した。被告は「事件前に部員らと入ったカラオケ店で、部員の方から抱きつかれ、キスや性的な接触をされた」と供述し、部員も性行為を了承したと思い、ホテルに連れ帰ったと説明。「ホテルでは部員も起きており、行為に応じてきた」と同意があったことを強調した。

 一方、教え子と関係を持って周囲に迷惑を掛けたことは後悔しているとし、目頭を押さえながら「死のうと思っていた」と話した。被告によると、合宿後は大学に顔を出せず、柔道部の監督らと電話やメールで連絡を取り合った。自身の言い分を学生や大学側に伝える機会がなく「混乱し、この先どうなるのかと不安もあった」という。

 「自分から柔道を取ったら何も残らない」と考え、自殺してわびようと思い、家族を実家に預けたが「妻から『死ぬなよ』と言われて気持ちが治まった」とも述べた。

 弁護人は被告が関係者に送ったメールを読み上げ、文面を示した。「俺が何を言われても黙っているのは、柔道部を守るため」などの内容を確認していた。

 29日の第6回公判では検察側の被告人質問が行われる。

 起訴状によると、熊本県内の大学柔道部の合宿に同行していた内柴被告は昨年9月20日未明、東京都八王子市のホテルで、酒に酔って熟睡し抵抗できない部員を乱暴したとしている。

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