中嶋一貴V 悪天候で短縮…複雑な表情
「世界耐久選手権・シリーズ第6戦・決勝」(20日、富士スピードウェイ)
元F1ドライバーの中嶋一貴(28)ら3選手が組んだハイブリッド車(HV)のトヨタが今季初勝利を挙げた。日本でのWECは2年連続制覇。激しい雨で中断が繰り返され、天候の回復が見込めないため、予定の6時間を短縮して終了した。2位はHVのアウディ、3位にはトヨタエンジンを積むレベリオン・レーシングが入った。市販車改造のグランドツーリング(GT)カー部門では、昨年までF1で活躍した小林可夢偉のAFコルセはクラス5位(総合21位)だった。
日本でのレースで2連勝したにもかかわらず、悪天候のためわずか16周で終わった。中嶋は「優勝という言葉がふさわしいか分からない。うれしいかと聞かれると微妙」と複雑な表情で振り返った。
スタートから終了まで運転を担当した。終始、セーフティーカーの先導を受けて走る異例の展開。ポールポジション発進のアウディをはじめ、他車がマシン調整などでピットに入ったため、労せずしてトップに立った。中嶋は「多少なりとも(競い合う)レースをしたかった」と話した。
前日の予選では決勝を見据えた準備を試みており「アウディと僅差のいいレースができたはず」と残念そうに語った。「何より、見に来てくれたファンの方たちに申し訳ない」と、最後まで威勢のいい言葉は出てこなかった。