美姫「これが最後」7位で五輪ならず涙

 「フィギュアスケート全日本選手権・最終日」(23日、さいたまスーパーアリーナ)

 女子フリーが行われ、前日のショートプログラム(SP)で5位だった安藤美姫(26)=新横浜プリンスク=はフリーで106・25点、合計171・12点で7位に終わり、3大会連続の五輪出場はならなかった。鈴木明子(28)=邦和スポーツランド=が合計215・18点で初優勝し、2大会連続の五輪代表入りを決めた。2位に順位を上げた村上佳菜子(19)=中京大=が初の代表入り。浅田真央(23)=中京大=はジャンプにミスが出て3位となり3連覇を逃したが、2大会連続の五輪代表に決定した。

 笑って泣いて、また笑った。滑走後、少し残念そうに、それでも笑顔を浮かべた安藤は、喝采を送る客席に向け、ちょこんと頭を下げた。「感謝の気持ちでいっぱい。スケート人生の17年間、お世話になった方々に恩返しができたかな」。リンクサイドに引き揚げる際、さまざまな思い出が詰まった銀盤に深々と頭を下げた。

 “安藤美姫らしく”終わりたかった。ノーミスでSPを終えた前夜だった。「五輪に出るためには、全日本で優勝するしかないと春先に言われたのを思い出した。最後は自分らしく終わりたいなって…」。スケーターとしての安藤美姫を、自らの胸に問いかけた。

 その答えは、天才ジャンパーと呼ばれた過去の自分だった。「(3年前と)同じプログラムをこなして、キレイに終わるのではなく『ジャンプの安藤美姫』と呼ばれた時の気持ちでやりたかった」。女子では最高難度といえる3回転ルッツ‐3回転ループなど、高難度プログラムにあえて挑戦。ジャンプのミスは目立ったが、流したのは悔し涙ではなく、万感の涙だった。

 大会後、来年1月の四大陸選手権の第二補欠と発表されたが、演技後には「この後は試合もないと思うので、これが最後の演技」と話しており、競技者としては引退する見込みだ。

 次なる夢は、指導者として“第二の安藤美姫”を育成すること。幼少期に師事した門奈コーチの背中から指導者への夢を抱き「自分も五輪の舞台に立ち、特別な場所だと分かった。自分の経験は伝えられるし、一人でも多くの子供たちを五輪に連れて行ってあげたい」。母として、指導者として‐。競技者としての区切りはついたが、夢は続いていく。

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