鳴戸部屋消滅へ…田子ノ浦として再出発
初場所で綱とりに挑む稀勢の里が所属する鳴戸部屋が、田子ノ浦部屋として新たなスタートを切る。2年前に急死した先代鳴戸親方(元横綱隆の里)から部屋を継承した鳴戸親方(元幕内隆の鶴)が25日、田子ノ浦に名跡を変更した。
田子ノ浦親方は12人の力士らと26日にも千葉県松戸市の鳴戸部屋を出る。来年6月には東京都江戸川区東小岩に敷地約70坪、3階建ての新部屋が完成予定。それまでは三保ケ関部屋だった建物を借りて生活する。
鳴戸の名前が消えてしまうことは苦渋の決断だった。田子ノ浦親方は「名前は変わっても先代の教えを大事にしたい」と涙ぐんだ。鳴戸の名跡を継いだ重圧もあったが、先代親方のおかみさんとの折り合いが悪かった。公益財団法人への移行を目指す日本相撲協会は組織の透明性を示すため、親方に年寄名跡証書の提出を求めたが、おかみさんが証書を持っているため、田子ノ浦親方は提出できずにいた。
このままでは部屋が処分を受ける可能性もあり「力士が力を出せる環境をつくることが自分の仕事」と田子ノ浦の名跡取得に至った。年末に突然の名跡変更となったが、力士たちに動揺はない。綱とりの稀勢の里にも思いは通じているはずだ。