鶴竜、初V&綱王手 白鵬に気迫の勝利

 「大相撲春場所・14日目」(22日、ボディメーカーコロシアム)

 綱とりの大関鶴竜(28)=井筒=が、横綱白鵬との1敗同士の対決を寄り切りで制し、昇進の一つの目安となる13勝以上での初優勝に王手をかけた。鶴竜は単独首位に立ち、千秋楽で大関琴奨菊に勝てば初優勝となり、横綱昇進が確実となる。白鵬は2敗で自力Vが消滅し、横綱日馬富士は3連敗で優勝争いから脱落した。ホープの平幕遠藤は千代大龍に敗れて負け越した。

 鶴竜の快進撃は、角界の王すら飲み込んだ。1敗同士の直接対決。立ち合い、白鵬の顔面をもろ手で突いた。一瞬、ひるんだ相手を突き放すと、左上手を取った。右手指に負傷を抱える横綱の右腕を締め付けると、がぶり寄り。粘られたが、気力、体力を振り絞り、寄り切った。

 初優勝と綱とりに王手をかけた瞬間、場内は万雷の拍手。28歳は表情を崩さず、いつも通り、淡々と振り返った。

 「突き放していけたのが良かった。止まらないのが良かった。精いっぱい、自分の相撲を取りました」

 過去の対戦成績は3勝30敗。先場所は本割で勝ったが、優勝決定戦で初優勝を阻まれた。「少なくとも、以前の自分とは違う」。敗れた数だけ、心身ともに成長。そして最大の壁を突破した。

 大一番を前にした朝稽古でも冷静だった。「大一番はこれまでいっぱいあった。場面が違うだけ。大一番と思わないよう、自然体でやる。変わらないのが1番」と、どこまでも自然体だった。

 両横綱を破り、13勝目を挙げて単独首位に立った。昇進を審議する審判部の鏡山部長(元関脇多賀竜)は「最低条件は優勝」と話した。千秋楽に勝ち、14勝で優勝なら文句なし。13勝でも、優勝なら北の湖理事長(元横綱)に昇進を承認するための臨時理事会の招集を要請する予定だ。北の湖理事長も「優勝なら検討の余地」と、相撲内容を高く評価している。

 「最後まで気を抜かず、気を引き締めて頑張りたい」。あと一番に全身全霊を尽くす。第71代横綱を、鶴竜が勝って引き寄せる。

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