ソチ五輪フィギュアスケート男子金メダリストの羽生結弦（１９）＝ＡＮＡ＝を指導するブライアン・オーサーコーチが２５日、来日し、ＧＰシリーズ第３戦の中国杯で閻涵（えん・かん）＝中国＝と激突して負傷した羽生が２８日開幕の第６戦、ＮＨＫ杯（大阪なみはやドーム）に出場する見通しであることを明らかにした。２６日の非公式練習の状態を見て最終判断する。

　王者の精神力が、傷ついた肉体をよみがえらせたのか。来日したオーサー・コーチは、羽生のＮＨＫ杯出場について「２６日の練習で状態を確認するが、出場の可能性はかなり高い」と話した。

　同コーチによると東京での治療後に仙台へ移り、１６日から氷上練習を再開して４回転ジャンプも跳んでいるという。「毎日連絡を取り合い、日に日に良くなっていると言っていた。自信があるように感じた。中国杯以来会っていないので、すでに大阪に入った彼に会ってまずは練習を見る」と述べた。

　羽生は８日の中国杯フリー直前の６分間練習中に閻涵と激突し、頭部や下顎から流血。応急処置を受け不屈の演技で２位に入ったが、翌９日に車いす姿で緊急帰国した。

　都内の病院で検査を受けた結果、頭部挫創、下顎挫創、腹部挫傷、左大腿（だいたい）挫傷、右足関節捻挫により、全治２～３週間と診断。深刻だったのが左大腿挫傷で、当初、ＮＨＫ杯出場は絶望的とみられていた。

　日本スケート連盟は、２６日午後の非公式練習で出場かどうかを最終判断すると発表。２連覇が懸かるＧＰファイナル（１２月１１日開幕、バルセロナ）に羽生が自力で進出するには、ＮＨＫ杯３位以内が条件となるだけに、回復具合が注目される。