東福岡、無敵3冠 記録ずくめV5!
「全国高校ラグビー・決勝、東福岡57-5御所実」(7日、花園)
Aシードの東福岡(福岡)がBシードの御所実(奈良)を57-5で下し、3大会ぶり5度目の優勝を飾った。CTB萩原蓮(3年)の先制トライを皮切りに計9トライを奪って大勝した。昨年の選抜大会、7人制大会と併せて史上初の3冠を達成。57得点と52点差は決勝での新記録で、5試合で挙げた計298得点も大会記録を更新した。2大会ぶり3度目の決勝に進んだ御所実は、またしても初優勝はならなかった。
持ち味の攻撃力で圧倒した。3大会ぶりの王座返り咲き。昨年の選抜、7人制に続く史上初の3冠-。しかし東福岡の選手は湧き上がる喜びとともに、寂しさも感じていた。ボールを蹴り出したら勝ちだと、それがこのチームの最後だと分かっていたからこそ、ノーサイドの笛が鳴るまで、誰もボールを蹴り出さなかった。最後まで攻めのラグビーを貫き続けての戴冠だった。
記録的猛攻の口火を切ったのは、CTB萩原だった。前半7分、ゴール中央の密集から右に展開して先制トライ。難しい角度だったがゴールも決めた。「コンタクトは最初の感覚で勝っていると分かった」(SO松尾)ため、キックは極力蹴らず、ボールを保持しながら攻め続けた。終わってみれば、決勝史上最多の57得点。萩原は2トライ6ゴールの22得点と大暴れだった。
幼稚園から小学校まではサッカー少年。フィジカルで勝負する点取り屋だったが、「もっとコンタクトが多いスポーツがしたい」とラグビーへ転向し、名門校の門をたたいた。
しかし、昨年2月、練習中に右膝前十字靱帯を断裂。「高校ラグビーは終わった」と覚悟を決めたが、入院中に多くの部員が病院まで足を運び「待ってるから」と声を掛けてくれた。俺はまだ必要とされているんだ-。6カ月に及ぶリハビリを乗り越え、10月の国体で復帰。「最初はボールを蹴るのも怖かった」というが、高校最後の大舞台で誰よりも輝きを放った。
「努力してきてよかった」と萩原。フランカーの古川主将が「みんなのおかげ。うれしいです」と言えば、1年時から出場を続けてきた松尾も「最後に最高の景色が見られました」。高校日本代表候補12人を擁するタレント集団は、他校のマークもものともせず、その力を見せつけた。選手たちのまぶしい笑顔とともに、伝統のグリーンジャージーが輝きを増した。