「大相撲初場所・７日目」（１７日、両国国技館）

　常幸龍が全勝の横綱日馬富士を左からの突き落としで破って、うれしい初金星を挙げた。長男・心絆（しんば）くんの１歳の誕生日に最高のプレゼントを贈った。横綱白鵬は物言いがつく際どい勝負になったが、小結高安を寄り切って、ただ一人７戦全勝で単独トップに立った。１敗は日馬富士、大関稀勢の里、平幕隠岐の海の３人。

　土俵際で奇跡が起きた。日馬富士に右を差され、左前ミツをつかまれて後退した常幸龍だったが、俵に両足がかかっても決してあきらめない。左からの突き落としで日馬富士が前のめりになり、サガリをつかんでしがみつくところ今度は右で土俵下へ振り落とした。

　「必死でした。（勝った瞬間は）頭の中にクエスチョンマークが浮かんでました。本当に勝ったの、って。でも良かったです」と笑みが止まらなかった。

　忘れられない１日になった。１月１７日は長男・心絆くんの１歳の誕生日。場所中でもお風呂に入れて、おむつを替えるという。「最高のプレゼントになりましたね」と目を細める。

　５日目の遠藤戦で敗れた際に右膝を負傷したが、真美夫人から「負けてへこんでいるんじゃないわよ。横綱に勝って」と励まされて奮起。国技館で観戦した妻子にドラマチックな勝利を届けてみせた。

　師匠の木瀬親方（元幕内肥後ノ海）からは、「横綱３人の中で勝つなら日馬富士だ。立ち合いで頭からいくな。いなされるから」と熱いアドバイスを受けて期待に応えた。体重２９８０グラムで生まれた愛息は１１キロまで成長。「もっと番付を上げて、ミルク代を稼がないと」。イクメン・パパが一家の大黒柱としての自覚をにじませた。