新ヒロイン!前田こけても日本歴代8位

 「名古屋ウィメンズマラソン」(8日、ナゴヤドーム発着)

 陸上世界選手権(8月・北京)の代表選考を兼ねて行われ、前田彩里(23)=ダイハツ=が日本歴代8位の2時間22分48秒で日本勢最高の3位に入り、世界選手権代表を有力にした。ユニスジェプキルイ・キルワ(バーレーン)が2時間22分8秒の大会新で初優勝。2連覇を狙ったマリア・コノワロワ(40)=ロシア=は2位で、2時間22分27秒は40歳代の世界新記録となった。

 日本女子マラソン界が待ち望んだ新ヒロインの誕生だ。前田は両腕を大きく広げてフィニッシュすると、満面の笑みをたたえてダイハツの林清司監督(53)の胸に飛び込んだ。

 「日本人1位を狙っているとは言ったんですが、まさか私が…。すごくうれしい。まだ実感がありません」

 近年の日本女子が阻まれてきた「2時間23分の壁」を、8年ぶりに突破。名古屋では、前身の名古屋国際女子も含め、シドニー五輪金メダルの高橋尚子さんしか届いていない22分台に、23歳の新鋭が踏み込んだ。

 アクシデントをはねのけた。15キロの給水地点。スペシャルドリンクを取ろうと焦り、前方の選手と接触して転倒した。すりむいた左膝から出血。左手首も強打し、痛みに顔をゆがませた。

 「すごく痛くて…。後半は足がどうかな、と心配だった」。痛みに耐え、すぐに先頭に追い付いた。30キロ過ぎにキルワがペースアップ。これにはついて行けなかったが、昨年女王のコノワロワには必死食らい付いた。

 これで世界選手権は当確。「イメージわかないけど、選ばれたらいいな」と控えめだが、日本人最上位で入賞すればリオ五輪出場が内定する。元マラソン選手で13年8月に亡くなった父・節夫さんへの思いも胸に、新星がさらなる飛躍を見据えた。

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