桐生、自信の帰国「公認9秒台出す」
陸上テキサス・リレーの男子100メートルで、追い風参考記録(3・3メートル)ながら、電気計時では日本人初の9秒台となる9秒87をマークし、優勝した桐生祥秀(19)=東洋大=が30日、成田空港に帰国した。今季初戦で手応えをつかんだ若武者は、次戦の織田記念国際(4月18、19日・広島)で公認条件での9秒台達成に意欲。今季の目標として100&200メートルのダブル日本記録樹立もぶち上げた。
手にしたのは、日本人初の“9秒台”という結果だけではない。体に残る10秒00の壁を超えた世界の感覚、ロンドン五輪5位のベイリー(米国)を破った自信-。得たものの大きさは、桐生の充実した表情に表れていた。
到着ゲートから出てきた“9秒台”の男の登場に、空港は一時騒然。その様子に「日本に帰ってきてビックリした。やっぱり盛り上がってるんだなと」と、まんざらでもない笑みを浮かべた。
次なる目標は当然、公認条件下での9秒台。「9秒台といっても、まだ追い風参考。次はちゃんと公認条件で出したい」。国内初戦となる次戦は織田記念国際。洛南高3年だった2013年に10秒01をたたき出し、一躍脚光を浴びた思いでの大会だ。本人も「走りやすいイメージのあるトラック」と、好相性は実感している。また、同大会は200メートルにもエントリー。「100が注目されるけど、僕は200メートルも好き。両方で日本記録を狙いたい」と、ぶち上げた。
ただ、偉業にもかかわらず、日本のスポーツニュースのトップが、大リーグから広島カープに復帰し、初白星を挙げた黒田博樹投手だったことを聞くと、「そうなんですか?」と少し驚いた表情を浮かべ、負けず嫌いな一面も垣間見せた。
くしくも織田記念国際は、黒田フィーバーに沸く広島で行われる。「頑張ります。9秒8台が出て、10秒1、2台じゃガッカリされるされるから」。さあ、次は文句なしの9秒台。勢いにのる桐生が、いよいよ日本の陸上界、スポーツ界、いや日本という国の歴史に大偉業を刻む。