「大相撲秋場所・４日目」（１６日、両国国技館）

　大関２場所目の照ノ富士が、白鵬、鶴竜の２横綱から金星を奪取して勢いに乗る嘉風に速攻で完勝。初日から土つかずの４連勝として、今年５月の夏場所に続く２度目の優勝へ快調に突き進んでいる。勝ちっ放しは大関稀勢の里、関脇栃煌山と３人だけとなった。

　白鵬、鶴竜を破って旋風を起こしている嘉風を全く問題にしなかった。照ノ富士は立ち合いでしっかり右を固めて相手に左を差させないように当たると、すぐに左からとったり気味にいなして嘉風の体勢を崩し、土俵際へ追い詰めた。もろ差しになられたが、両腕で抱え込んで身動きを取れなくして寄り切り。３秒８の速攻で初日から４つの白星をきれいに並べてみせた。

　素早い身のこなしで２人の横綱を手玉に取った嘉風の取り口をしっかり研究していた。「離れて相撲を取ったらちょっと危ない。なるべく自分に近いところで体を生かすようにした。良かったと思う」と理路整然と取組を振り返った。十両だった１３年１１月場所に嘉風に押し出しで敗れているが、その時の経験も無駄にしなかった。

　出番前の２つ取組（豪栄道－逸ノ城、稀勢の里－碧山）がいずれも物言いがついた。土俵下の控えでかなり待たされたが、影響はみじんも感じさせなかった。「前の２番が盛り上がったからね。それで気持ちが入った」と、メンタル面でプラスに変えてみせた。

　第一人者として角界をリードしてきた白鵬が３日目から横綱になって初めて休場。しかし、客足は落ちず、この日も午前９時過ぎに当日券が完売した。初日から４日連続で満員札止めとなり、東京場所としては１９９６年９月場所以来となる１９年ぶりの１５日間連続での満員札止めがほぼ確実。復活した大相撲人気は、さらに過熱の度合いを増している。

　白鵬が不在の場所だからこそ、次代のニューリーダーである照ノ富士にかかる期待は大きい。「横綱がいないのは寂しいけど、みんなで盛り上げたい」。その目はもう優勝しか見ていない。