体操・内村前人未到個人総合6連覇
「体操・世界選手権」(30日、グラスゴー)
男子個人総合決勝が行われ、日本のエース、内村航平(26)=コナミスポーツク=が92・332点で前人未到の6連覇を達成し、16年リオデジャネイロ五輪代表に内定した。五輪を含めた世界大会では7連覇とし、個人総合の連勝記録は35に伸びた。初代表の萱和磨(18)=順大=は10位だった。
勝利を確認すると、内村はカメラ目線で指を1本ずつ立てていった。片手で収まりきらない6連覇を示す「6」に達すると、自慢のドヤ顔をさく裂。今年も当然のように、定位置を奪い去った。
すべてが圧巻だった。2位に0・067点差に迫られて迎えた4種目目の跳馬で、今季8年掛かりで完成させた世界でも挑戦する選手の少ない大技「リ・シャオペン」を完璧に成功。全体トップの15・633点をマークして突き放すと、続く平行棒でも圧巻の演技で試合を決定付けた。
全観客の視線が注がれた最終種目の鉄棒。団体で落下したG難度「カッシーナ」は回避したが、ピタリとした着地で締めくくると、6連覇を確信し、マットに吸い込まれる心地よい感触をじっくりと味わった。
「日本の体操が、僕らがやってきたことが間違っていなかったと世界に示せた」。昨年から技の難度を上げた中、比類なき美しさはそのままに、王者は一段と進化した姿を見せつけた。
これで個人総合35連勝。もう7年以上負けていない。世界大会では2位以下の選手が毎年入れ替わる中、内村だけが頂点に立ち続けている。技が高度になり怪我のリスクが高まる中で“異次元”ともいえる存在だ。
一般的に体操選手のピークと言われる20代前半を過ぎても、肉体的な衰えはない。担当医師からは「(20年五輪の)東京まで全然できる」と太鼓判を押されている。「まだまだ自分の演技に納得はしていない。体操を続けている限り、限界はない」。集大成と語る20年東京五輪まで不敗記録は続くのか。現時点では、まだ“観測”に過ぎないが、それでも内村なら、やってのけても不思議はない。