羽生、皇帝・プルシェンコを超え誓う

 「フィギュアスケート・GPシリーズ最終戦・NHK杯」(29日、長野市ビッグハット)

 SP(106・33点)、フリー(216・07点)、総得点(322・40点)と3つの世界記録を打ち立てて優勝した男子の羽生結弦(20)=ANA=が29日、一夜明け会見に臨み、“皇帝”襲名に意欲を見せた。理想とする王者像に06年トリノ五輪金メダリストの“皇帝”、エフゲニー・プルシェンコ(33)=ロシア=を挙げ、「唯一無二の存在」となると誓った。次戦のGPファイナル(12月10日開幕・バルセロナ)では、プルシェンコを超える男子史上初の3連覇に挑む。

 世界最高の夜から一夜明け、常にどん欲な羽生には珍しく、表情に満足感が漂っていた。「SP、フリーともノーミスは初めてに近い。興奮してうまく寝られなかった」。そして、笑いながら「得点より、ノーミスの演技をそろえられたことに喜びを感じた」と、納得の様子で振り返った。

 質問が前夜のインタビューで発した「絶対王者」というコメントに及ぶと、自らの未来像をまくし立てた。絶対王者とは-と問われると「理想の王者はプルシェンコ選手。僕にとって憧れのヒーロー」と回答。得点の面では、すでに超えているが「今とは採点方法が違う。オーラだったり、強さだったり。彼のような唯一無二の存在になりたい」と目を輝かせた。

 “ロシアの皇帝”のような存在になるための戦いは始まっている。この日の練習では、習得を目指している4回転ループに果敢に挑む姿があった。今大会、中国の新鋭・金博洋がフリーで4回転を4本入れる構成に挑んでいたが「僕は4回で十分とも思わない」と野心をたぎらせた。

 3連覇への期待がかかるGPファイナル。今の羽生にとって、ライバルは自分しかいない。「ほかの選手は関係なく、自分の記録、演技を超えられるように頑張りたい」。過去の自分を打ち破り、その存在をより絶対的なものへと変えていく。

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