真央SP3位 攻めて変身
「フィギュアスケート・GPファイナル」(11日、バルセロナ)
女子ショートプログラム(SP)で浅田真央(25)=中京大=が69・13点で3位につけた。首位のエフゲニア・メドベージェワ(ロシア)との差は5・45点で逆転圏内。浅田は終盤、課題の3回転ルッツを失敗したものの、序盤のトリプルアクセル(3回転半)と連続の3回転ジャンプは成功させた。11月のNHK杯覇者の宮原知子(さとこ、17)=大阪・関大高=は68・76点で4位。フリーは12日(日本時間13日未明)に行われる。
尻もちを繰り返し、復調の兆しを感じさせなかった午前の公式練習から約12時間後。午後10時すぎに登場した真央は別人に変貌していた。フラメンコダンサーを思わせるきつめのメーク。冒頭のトリプルアクセル(3回転半)で、迷いなく氷を蹴り上げ、大きな放物線を描いて着地成功。日本人も大勢詰め掛けた会場が一気に沸き、緊張感に包まれた空気が一変した。
「攻める気持ちを持って臨めた。NHK杯で悔しい思いしたので、そういう思いはしまいと。ルッツの失敗(3回転が1回転に)はあったけど、演技全体としてはまずまず。失敗をマイナスと思わず、こういう感じでいけばいけるんだなと演技前半で分かったので、今後につながります」
SP4位と出遅れたNHK杯(11月27日)のトリプルアクセルは回転不足で2・90点しか採点されなかったのに対し、今回は出来栄え点(GOE)1・71を含む10・21点。SPの演技全体で6・63点伸ばすきっかけを、生命線であるアクセルでつくった。演技後の真央は「ボードが遠くて点数がよく見えなかった」と話したが、数字を聞くまでもなく手応えは感じていた。
今大会へ向けては周囲が案ずるほど、真央自身は追い込まれていなかった。「私自身は不安定だとは思っていなかった。いい時も悪い時もあるので」。1年半のブランクを挟んで復帰したのは苦しむためではない。振付師のローリー・ニコルと練り上げてきたジャズ曲「すてきなあなた」を弱気に演じては元も子もない。復帰に至った原点に立ち返り、観衆以上に楽しむ姿勢がいかに大事かを再認識した。