「水球・アジア選手権、日本１６－１０中国」（２０日、仏山）

　リオデジャネイロ五輪の予選を兼ねた大会で、男子の日本が１６－１０で中国に快勝し、８４年ロサンゼルス大会以来、３２年ぶりの五輪出場を決めた。今大会の男子は５チームによる１回戦総当たりのリーグ戦で争われた。中国とともに３戦全勝で迎えた最終戦で、日本は第１ピリオドで６－２とリード。第２ピリオドを終えて８－６と追い上げられたが、再び突き放した。

　日本は磨き上げた速攻で序盤から得点を重ね、ライバルを打ち破った。相手のパス回しを阻止する独自の防御網が機能。ホームの中国に多数のペナルティースローが与えられる中でも積極性を失わず、自分たちのペースで試合を進めた。

　「日本の水球には１００年以上の歴史がある。水球を支えてくれた人に恩返しができて、ほっとしている」。五輪出場が決まると、大本監督はプールに飛び込んで選手と抱き合った。

　中国の得点の多くは日本の反則によるペナルティースローからのもので、ホーム寄りの判定にも見えた。もっとも、日本は集中力を切らさず、パスを阻止する守備を徹底した。仲間と涙を流した主将の志水は「アウェーで難しい試合になると覚悟していたが、自分たちのプレースタイルをしっかりと出せ、ほぼ１００パーセントの内容。全員が１対１の勝負で負けなかった」と勝因を挙げた。

　日本は８４年ロサンゼルス大会を最後に五輪の舞台から遠ざかった。８６年には選手の大麻事件でアジア大会出場を辞退する不祥事も。アジア予選で出場権を獲得できなかった０４年アテネ五輪や、１２年ロンドン五輪では実力不足との理由で日本水泳連盟が最終予選へのチーム派遣を見送った。

　不遇の時代を乗り越え、視線は３２年ぶりの大舞台へ。志水は「世界のトップと戦える自信ができた。五輪ではベスト８を目指す」と言い切った。