最強・沙保里、V13で五輪決定

 「レスリング・全日本選手権」(23日、代々木第二体育館)

 リオデジャネイロ五輪代表選考会を兼ねて行われ、女子55キロ級に出場した五輪3連覇中の吉田沙保里(33)=ALSOK=は決勝で菅原ひかり(至学館大)を下し、13回目の優勝を果たした。同75キロ級は渡利璃穏(りお、24)=アイシンAW=が2年ぶりに優勝し、五輪予選(来年3月、カザフスタン)代表に決まった。同53キロ級は登坂絵莉(22)=至学館大=が4連覇。日本協会の規定で、優勝した世界選手権(9月・米ラスベガス)で五輪出場枠を得た吉田と登坂は、五輪代表に決定した。

 吉田が不安材料をはねのけて、4大会連続で五輪出場を決めた。準決勝は元世界女王の浜田(クリナップ)に倒されてフォールを奪われそうになる場面もあり、6-3で辛勝。それでも決勝では相手を担ぎ、後方にたたきつける水車落としを決めてテクニカルフォール勝ちし「肩を痛めたり、ぜんそくになったりしたけど、何とか優勝できた」と安どした。

 出場すれば五輪代表に決まる大会で、通常体重に近い55キロ級を選んだ。「1階級上の圧力や勢いを感じたかった」と説明したが、一番の理由は体調不良だった。世界選手権前から練習中に息が上がり、12月に入ると「死ぬかと思った」というほど、せきが悪化した。

 母・幸代さんは「練習のしすぎで体が壊れないように、天国のお父さん(故・栄勝さん)が待ったをかけてくれたのかもしれないね」と話した。吉田は「薬で落ち着いた。治るかわからないので、リオまでうまく付き合うしかない」と、試練に立ち向かう覚悟を決めた。

 親友からの後押しもあった。引退を発表したサッカー女子日本代表MF澤穂希から、大会前「悔いのないサッカー人生だったよ。沙保里の4連覇を応援してる」とメールが届いた。リオでの共闘はかなわなくなったが「今晩も澤さんたちとクリスマス女子会をやる」と明かし「日本人でも女子でも、五輪4連覇は過去にいない。必ず達成できるように頑張る」と言い切った。

 女子スポーツ界をけん引してきた戦友の応援を力に変え、前人未到の大記録に挑戦する。

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