五郎丸キック成功5割もヤマハ逆転4強
「ラグビー・トップリーグ決勝トーナメント準々決勝、ヤマハ発動機26-7NTTコム」(9日、キンチョウスタジアム)
リーグ戦上位8チームによる決勝トーナメントの準々決勝4試合が行われ、W杯日本代表のFB五郎丸歩(29)を擁するヤマハ発動機は、NTTコミュニケーションズに26-7で逆転勝ちを収めた。五郎丸の“16年初蹴り”は6本中、成功3本にとどまったものの、50メートル超のDGを狙って観客を沸かせた。3連覇を狙うパナソニックは46-6でキヤノンに圧勝した。準決勝は16日に行われる。
W杯後、初見参となった関西のファンへ、五郎丸が新年のあいさつ代わりに豪快なキックを披露した。12-7の後半7分、自陣でボールを受けると50メートル超のドロップゴールを狙って右足を振り抜いた。「オーッ」。スタンドが歓声に包まれる中、距離は十分。一瞬入ったように見えたが、わずかに左に外れた。
「人生で1回もドロップゴールを決めたことがない。いつになることやら…」。試合後、W杯ベスト15にも選ばれたキックの達人は意外な“悩み”をカミングアウトした。
前半は先制を許す我慢の展開。0-7の前半終了間際、スクラムから押し込み反撃のトライ。五郎丸が25メートルのゴールを成功させ7-7で折り返した。風上の後半は地力の差で3トライを奪って逆転勝利。準優勝した昨季に続く4強に進出した。
ただ自身の初蹴りは6本中、成功は3本で「あまり当たっていなかった。気にしていないけど」と満点の“初笑い”はお預け。それでも、16日の準決勝・東芝戦へ「次は強豪が来る。リカバリーしないと」と引き締めた。
2月からは世界最高峰のスーパーラグビーに挑む。「ゼロからの挑戦」と位置づけた16年、日本ラグビー界のけん引役は国内を最後まで盛り上げる。この日は観客7527人にとどまり「もっと入ると思った。次回の花園はもっといいパフォーマンスを」と誓った。
11日に高校の決勝が行われる花園は自身も12年前、佐賀工時代に8強で涙した聖地だ。「彼ら(高校生)に負けないように力を発揮したい」。原点の地で五郎丸が大暴れする。